皆様こんばんは。
本日は名人戦第3局の2日目が行われました。
結果は高尾挑戦者が黒番中押し勝ちを収め、開幕3連勝となりました。
井山名人が番碁で3連敗するのは初めてでしょう。
驚きです。
それでは2日目の模様を振り返っていきましょう。
なお対局の模様は幽玄の間にて、仲邑信也九段の解説付きで中継されています。
封じ手は白△の引きでした。
打たれてみれば当然の一手です。
当てなければいけません
白△が全部取られるので盲点に入ってしまいました
黒の利益は30目を軽く超えますが、外側の厚みの方が大事なのです。
そして地の損は右上へ侵入して取り返しに行きました。
ここで黒は白を攻めたくなるのですが・・・
果たして利益が上がるかどうか?
白△が良い所にあり、隅の黒地はあまり大きくなりません。
それより白8に回られると白模様が大きくなりそうです。
という事で中央を動いて右下から伸びた白の大石を狙う、という作戦が思い浮かびます。
しかし黒1、3とは軽やか!
高尾挑戦者の名手ではないでしょうか?
私には思い付きそうもありません。
黒1と繋ぐ手が真っ先に思い浮かびます。
しかしこれは鈍足、白6まで大石が簡単に上辺に繋がってしまいました。
一方中央の黒はまだ心配ですし、裏側では黒△が心細くなっています。
これでは黒は何をやったか分かりませんね。
高尾挑戦者の手が名手たる所以です。
白は左辺を受けずに右上を打ちました。
黒が受けなかったのを咎めようとする、一つの気合です。
しかし黒2から6までが機敏で、所謂「内と外」の交換となりました。
内側に入った白石は今後の戦いに役立たないのに対し、黒は外側の弱い石を強化する事ができました。
黒にとって大いにプラスの交換です。
さて、ここで黒Aと白△を取りきるかと思いましたが・・・
実戦は黒△!
この手に擬音を付けるなら・・・ガツン!
高尾挑戦者渾身の一着でしょう。
ツケは強制力の強い手で、相手はここを続けて打たなければいけません。
黒の狙いは何でしょうか?
一気呵成に黒14まで進み、黒の狙いが明らかになりました。
そう、右下から伸びた白の大石です!
黒の豪快なモタレ攻め作戦でした。
白は必死に凌ぎを図ります。
白9の後黒Aと取りに行きたい所ですが、Bに傷があるのが気がかりです。
下手をすると逆襲されてしまうかもしれません。
そこで黒1、3が高尾挑戦者らしい我慢の一着です。
いきなり取りに行かず、Aの弱点を消して白に脅しをかけています。
白が脅しに屈して大石を生きるなら、黒Bに回って形勢黒良しとみています。
高尾挑戦者の形勢判断は正確です。
井山名人も同じ判断だったのでしょう。
白1と右上を打って地で頑張りました。
黒Aと打たれて死んだら仕方ない、でも簡単には死なないぞと言っています。
これは第2局で凌ぎ勝負に出た高尾挑戦者と同じ心境でしょう。
そして高尾挑戦者の選択は・・・
黒1とさらに我慢!
取りに行くのではなく、黒△の一団を強化して、「次は取りに行くぞ」と最後通牒を突き付けました。
白Aと大石を逃げるなら黒Bからヨセに入って十分という事でしょう。
やはり正確な形勢判断が基にある打ち方です。
形勢不利の白は最後通牒を無視して白1と地を稼ぎました。
対する黒はとうとう黒2と実力行使!
生きるか死ぬかの決戦か!?
・・・と思われましたが、高尾挑戦者は最後まで冷静でした。
まず中央で白4子を抜いて儲け・・・
上辺でも白2子を取って儲けました。
黒4子を取られて白の大石が生きてしまいますが、もう十分と判断しました。
その判断は正しく、ここから白が逆転するチャンスは全くありません。
この碁は絶対に逃さないという、高尾挑戦者の決意が表れた勝ち方でした。
終わってみれば高尾挑戦者の完勝と感じました。
黒49、黒87といった重厚な手を放つ一方、黒77のような軽快な手も見せました。
名局としか言いようがありません。
さて、井山名人はとうとう追い詰められました。
いくら高尾挑戦者が強いとはいえ、この展開は誰も予想できなかったのではないでしょうか?
高尾挑戦者の圧倒的有利となりましたが、しかし七番勝負は最後まで分かりません。
3連敗後の4連勝は過去に何度も起こっています。
ましてや相手が井山名人ですから、これで五分という高尾挑戦者の言葉は半ば本気でしょう。
このまま高尾挑戦者が押し切るのか、井山名人が奇跡の大逆転への第一歩を踏み出すのか!?
七番勝負の決着まで、どちらが勝つにしても歴史的な戦いになるでしょう。
第4局は第4局は10月4日(火)、5日(水)に兵庫県宝塚市「宝塚ホテル」で行わます。
お楽しみに!
本日は名人戦第3局の2日目が行われました。
結果は高尾挑戦者が黒番中押し勝ちを収め、開幕3連勝となりました。
井山名人が番碁で3連敗するのは初めてでしょう。
驚きです。
それでは2日目の模様を振り返っていきましょう。
なお対局の模様は幽玄の間にて、仲邑信也九段の解説付きで中継されています。
封じ手は白△の引きでした。
打たれてみれば当然の一手です。
当てなければいけません
白△が全部取られるので盲点に入ってしまいました
黒の利益は30目を軽く超えますが、外側の厚みの方が大事なのです。
そして地の損は右上へ侵入して取り返しに行きました。
ここで黒は白を攻めたくなるのですが・・・
果たして利益が上がるかどうか?
白△が良い所にあり、隅の黒地はあまり大きくなりません。
それより白8に回られると白模様が大きくなりそうです。
という事で中央を動いて右下から伸びた白の大石を狙う、という作戦が思い浮かびます。
しかし黒1、3とは軽やか!
高尾挑戦者の名手ではないでしょうか?
私には思い付きそうもありません。
黒1と繋ぐ手が真っ先に思い浮かびます。
しかしこれは鈍足、白6まで大石が簡単に上辺に繋がってしまいました。
一方中央の黒はまだ心配ですし、裏側では黒△が心細くなっています。
これでは黒は何をやったか分かりませんね。
高尾挑戦者の手が名手たる所以です。
白は左辺を受けずに右上を打ちました。
黒が受けなかったのを咎めようとする、一つの気合です。
しかし黒2から6までが機敏で、所謂「内と外」の交換となりました。
内側に入った白石は今後の戦いに役立たないのに対し、黒は外側の弱い石を強化する事ができました。
黒にとって大いにプラスの交換です。
さて、ここで黒Aと白△を取りきるかと思いましたが・・・
実戦は黒△!
この手に擬音を付けるなら・・・ガツン!
高尾挑戦者渾身の一着でしょう。
ツケは強制力の強い手で、相手はここを続けて打たなければいけません。
黒の狙いは何でしょうか?
一気呵成に黒14まで進み、黒の狙いが明らかになりました。
そう、右下から伸びた白の大石です!
黒の豪快なモタレ攻め作戦でした。
白は必死に凌ぎを図ります。
白9の後黒Aと取りに行きたい所ですが、Bに傷があるのが気がかりです。
下手をすると逆襲されてしまうかもしれません。
そこで黒1、3が高尾挑戦者らしい我慢の一着です。
いきなり取りに行かず、Aの弱点を消して白に脅しをかけています。
白が脅しに屈して大石を生きるなら、黒Bに回って形勢黒良しとみています。
高尾挑戦者の形勢判断は正確です。
井山名人も同じ判断だったのでしょう。
白1と右上を打って地で頑張りました。
黒Aと打たれて死んだら仕方ない、でも簡単には死なないぞと言っています。
これは第2局で凌ぎ勝負に出た高尾挑戦者と同じ心境でしょう。
そして高尾挑戦者の選択は・・・
黒1とさらに我慢!
取りに行くのではなく、黒△の一団を強化して、「次は取りに行くぞ」と最後通牒を突き付けました。
白Aと大石を逃げるなら黒Bからヨセに入って十分という事でしょう。
やはり正確な形勢判断が基にある打ち方です。
形勢不利の白は最後通牒を無視して白1と地を稼ぎました。
対する黒はとうとう黒2と実力行使!
生きるか死ぬかの決戦か!?
・・・と思われましたが、高尾挑戦者は最後まで冷静でした。
まず中央で白4子を抜いて儲け・・・
上辺でも白2子を取って儲けました。
黒4子を取られて白の大石が生きてしまいますが、もう十分と判断しました。
その判断は正しく、ここから白が逆転するチャンスは全くありません。
この碁は絶対に逃さないという、高尾挑戦者の決意が表れた勝ち方でした。
終わってみれば高尾挑戦者の完勝と感じました。
黒49、黒87といった重厚な手を放つ一方、黒77のような軽快な手も見せました。
名局としか言いようがありません。
さて、井山名人はとうとう追い詰められました。
いくら高尾挑戦者が強いとはいえ、この展開は誰も予想できなかったのではないでしょうか?
高尾挑戦者の圧倒的有利となりましたが、しかし七番勝負は最後まで分かりません。
3連敗後の4連勝は過去に何度も起こっています。
ましてや相手が井山名人ですから、これで五分という高尾挑戦者の言葉は半ば本気でしょう。
このまま高尾挑戦者が押し切るのか、井山名人が奇跡の大逆転への第一歩を踏み出すのか!?
七番勝負の決着まで、どちらが勝つにしても歴史的な戦いになるでしょう。
第4局は第4局は10月4日(火)、5日(水)に兵庫県宝塚市「宝塚ホテル」で行わます。
お楽しみに!