白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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三星杯結果

2016年09月09日 23時57分17秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
三星火災杯32強戦第3局は伊田篤史八段一力遼七段共に敗れて16強進出はなりませんでした。
一力七段は卞相壹五段という強豪と互角に戦っていましたが、わずかに半目及びませんでした。
その対局の模様をご紹介しましょう。
なおこの対局も幽玄の間で棋譜をご覧頂けます。



黒△に繋がず、白1と当て返して来ました。
これは当然の一着です。
もし黒が繋いでしまうと・・・





酷い団子が出来てしまうのでいけません。
しかも黒Aと切る手は白Bで両当たりなので打てません。





白の対応は黒も当然予測していて、黒1と抜いていきました。
白2と抜かれて大きなコウ争いになりますが、黒3のコウ立てを用意していました。





白にはコウ立てがないので解消の一手です。
序盤早々大変化になりました。
白5子を取り込んだ黒地も大きいですが、白の厚みも強大です。
互角に近い分かれでしょう。





手順は進んで右下で戦いが起こっています。
黒△は鋭い手筋でした。
白Aと切りたくなりますが・・・





白1の切りには黒2の返し技を用意しています。
白Aと繋げば黒Bと抜いてしまいますし・・・





白1の抜きには黒4まで、AとBが見合いで上の白が取られます。





というわけで白1と後退、黒2と白△を分断する事に成功しました。
しかし敵もさるもの・・・





白1、3のツケ切りが鋭い手筋です!





黒1、3で一応取る事は出来るのですが、存分に利かして外を厚くしてから中央に回ろうという事でしょう。
これを嫌った黒は・・・





実戦は逆に黒△を捨てる作戦に出ました!





結果隅は白地になりましたが、黒が先手を取って中央に先行する事になりました。
双方秘術を尽くした戦いでした。

最後は半目を争うヨセ合いになりましたが、結果は残念でした。
しかし世界戦の舞台で戦える事は十分証明出来たのではないかと思います。
世界一が生まれる日を楽しみにしましょう!