トランプさんの移民と特定の国からの入国制限の大統領令が、最高裁で一部認められた。ただ最高裁の判断が曖昧で、逆に混乱を生むのではないのかと言われている。
公約だったからこだわらなければいけないのだろうが、イスラム世界への理解があまりにも薄すぎる。いや世界に対する理解はほとんどないのではないのだろうか。商売でいえば確かにアラブの盟主のサウジアラビア、アジアの中国、そしてロシアと付き合ってゆくほうがいいのだろう。EUはトランプさんを嫌いだと言い放ったから、放っておけばいい。イギリスはEUから離脱するからこれは取り込めばいいだけだろう。
だがそんなことで国際政治が回るのか?敵の敵は味方とか、敵の味方を取り込むとか、敵の敵の味方を取り込むとか、老獪さが必要だ。だがアメリカ国際政治は伝統的に陰謀と札ビラだけで行ってきたからそういった考えは、特に商売人にとっては考えもつかないのだろう。
サウジとの武器輸出契約は、実はなかったようだ。アメリカ側からの提案があっただけで、商談にもいったっていないという。サウジアラビアには今現在そんなに武器を買う余裕がない。なぜこんなことを大々的にいったのだろう。サウジアラビアの沈黙は、それを利用しているのだろう。
イランやトルコがカタールを支持している意味を理解できないのだろうか。かつてのスンニの盟主とシーアの盟主が二つ並んで、スンニ・ワッハーブのカタールを支持している。
トランプさんはサイコパスだと言われてる。もっともアメリカの精神医学の権威が「会っていないのを、言動だけで判断するのは間違っている。私の作った判断基準を元に考察するように」といったそうだが、結果肯定したことになっている。
自己愛パーソナリティ障害とも言われるが、一代で財を築き上げた人とかには確かにこういった人は多い。そしてまた魅力のある人が多い。だが日本では根本的にそういった人たちもえらく苦労する。言動一致でないと日本人は許さないからだ。特に成功してからがそうだ。なので後半自分の言動に縛られて身動きが取れなくなり、自滅する企業がある。
なぜトランプさんの言動を肯定して支持する人がいるのかといえば、世界最大のベストセラーの本が問題なのかもしれない。ある存在を書いた3部作の大著で、ある存在を証明するために様々な人物が入り乱れる第一部と、ある存在が人類救済のために愛の証として我が子を生贄に差し出した第2部と、愛でも救われない人類に知恵と秩序を与えようと預言者に知恵を与えた、その預言者の生涯を書いた。それぞれが大著で読み解くのが困難な本として有名だ。おかげで触発されたりスピンアウトした小説やミステリーが多数発売され、現在にいったている。
そのある存在は自分を褒め称えることを要求し、常に自分を忘れないことを絶対としている。自分が一番で自分に少しでもはむかうと、洪水を起こしたり空から火を降り注いだりと大変危険だ。おまけに一番自分を信じてくれている人を賭けのために簡単に裏切ってしまう。最低なやつだ。第二部は自分の子供をあえて殺させるのだ。殺された子を生き返らせて奇跡を起こしてドヤ顏をする話だ。いやこれは言い過ぎか。ただ息子は作中かなりこの親に苦しんでいる。丘の上で一晩中祈ったり、「父さんの場所を汚すな!」と神殿の中の商売人を蹴散らしたりした。なんでここで奇跡を起こさないのかが不思議なのだが、まあ父への恐怖から出たことと、自分が殺される運命へのヤケクソのようなところが愛らしい。刑場での悲痛な慟哭が父に伝わる瞬間が感動的だ。
このドラマティックな第2部に対して、第3部はリアリティが濃いということで反発が多い。この第3部が好きなのと第2部が好きな人との間で度々戦争が起きるほどだ。第3部はある存在からの啓示を忠実に守る男の話だ。第一部が神話世界で第2部が古代、第3部も古代だが現代によほど近い。なのである存在を証明するための具体的な行動が詳細に記されている。これに忠実であることがある存在へ近づく第一歩なのだ。明快な目標設定が近代的でもある。なので熱狂的なファンは、第一部も第2部も、この第3部にあるのだと言い切ってしまう。しかしなのだが具体的な行動指針があるにもかかわらず、全くない第一部の愛好者の方に金持ちが多いのだ。もちろん愛好者はものすごく厳密な解釈を作り、生活はギチギチに規定されているのだが、第2部と3部のようにみんなに分け与えないといけないという共同体の原理が少し薄い。多分このせいだろう。
一神教の神こそがサイコパスだ。悪魔が殺した人の数より圧倒的な量の人を殺したのが、神だ。
なので現世で成功したサイコパスが現れると、新人神と考えてしまうのだろうなぁ。テレビとかメディアの力もあるが、アメリカではそうなのだろう。
日本では新興宗教の教祖以外では、なかなか成功できない。言葉に矛盾があったら、嘘つきになるからだ。
麦秋が近づいた。