夜のブログ

講評です

【-1】 工場の女の子

2007-02-11 18:21:35 | 講評2007
内容: 0
文章: -1

全体的にはよいと思われます。
文章はだらだらしていると言われるかも知れませんが
これくらいで普通だと思うし読みやすいですからね。

スイッチをオフにして稼動を遅らせるのは経営的には大問題と思いますが
安全方向のトラブルでもあります。
一方でそういうスタンバイに20分もかかる高負荷の機械のある工場ですから
女の子の手心ひとつで命に関わる事故も起こせるわけで、そう考えると
実際には書いていることよりもずっとずっと怖い話です。

ただいかんせん冒頭部分で要らぬ記述が目立ってしまいます。
こういう良くも悪くもプロっぽくない所が良いという人もいるかも知れませんが
僕はあんまり好きじゃないです。

「UFOと同じ娯楽」とのことですが、誰もがUFOを娯楽と考えているわけではないし
逆に怪談を娯楽ではないと考えている人ばかりなわけでもないです。
著者の主張のひとつとしては別に噛み付くわけじゃないんですけども
僕に言わせれば、こういうことは書いても良い効果は何一つ得られないよ、と
言いたいわけです。
恐らく、著者が立場として中立だったということを示したかったのでしょうけれど
著者がどう思っても何でも起きたことには関係ないのですし
起きたことをどう捕らえるかということについても、逆効果でしかないです。
起きたのは中立だった過去でも、振り返って書いてるのは中立ではなくなった
現在であることを必要以上に明確にしてしまうので
期待したであろう効果とは真逆の効果になってしまいますから。

と、延々と書きましたがこれは冒頭の一部にちょっと気になるところがあるよ
というだけの事でして、本文がかなり独特な雰囲気を漂わせているので
全体及び技術点への影響は軽微かなと思っております。

全体を通しての、この緩い書きぶりは味があって好きです。
本人のものとすれば純粋な技術とは違うのでしょうけれど
著者が体験者の一人称を借りて書いたとすれば良いものです。
全く怖さは伝わらないんですけども。
その辺は次回に期待ということなんでしょうか。
で、冒頭が「私が幽霊を信じるようになったのはこの体験で~」と
言わんばかりなのに、お預けになっちゃうのは辛過ぎます。

【-4】 狐の嫁入り

2007-02-11 17:33:24 | 講評2007
> 今となっては手慣れたコースのひとつである交差点を左折した時、それは飛
> び出しき
> た。
>「あぶない!」

うーん、石田さんより早く字面が事故ってしまった。
Webの文章はフォントサイズやdiv要素の属性によって折り返しが変わるので
ケースバイケースで使い分けましょう。
……まぁそのへんは置いておくとして。

内容: -1
文章: -3

脱字や改行位置はともかく、時制が何だか妙じゃありませんか?
特に、女が石田さんを見つめていた表現のある周囲で
顕著におかしくなっているようです。
ずっと見つめていた~という表現は比較的長い時間の経過を伴う
横断的な表現になるでしょう。
その中に粒度の異なる混じっていたり、後ろから補足するように
現在形の文章があるのがとても読みにくい原因かと思われます。

内容というか、カットしなかった技術的な問題とも言えますが
最後はまったく不要。
手負いの狐がいつまでも同じ所にいるわけはないし
いてもいなくてもあまり意味があるようには思えません。
死んでたら埋めてやるつもりで行ったのかも知れませんが
撥ねた段階の描写で致命傷とは思えない上、
石田さんがどうやって戻ったのかと余計な疑問が残ります。

口の動きに目を凝らした云々というのも、不要というよりは
悪い方向に作用していると思えます。

内容は悪いわけじゃないのですが、一般的に伝わる
狐の復讐譚の枠を出ているわけではないと思います。
前半はよかったんですがねぇ…。

【+1】 何だかたくさんいるらしい

2007-02-11 16:10:12 | 講評2007
内容: 1
文章: 0

こんなのが沢山いるならもう引っ越すしかない!

思うにこれは、犬男あたりの描写が命な話でしょう。
前半の「どうやら犬じゃないらしい」という部分をあれこれ書くより
後半に注力して欲しかったという気がするわけです。
いやもちろん、そういう根回しは重要なんですが、飽くまで比較の上の話です。

屋外で犬飼ってる家が沢山あるような所に住むと解ると思うんですが
犬の遠吠えに対するセンスは高く、一匹鳴くとかなり遠くの犬までも共鳴します。
すると犬たちvs自分の位置関係が何となく明確になるわけですけども
この話は最後にそこの言及がない。

沢山いたんだということは解りますけども
遠かったのか近かったのか、もっと言えば囲まれていたのかそうでないか
(或いはどんな動きで鳴いたのかも)
その辺りが書かれていれば僕の心にももっとグッと迫れたと思うのですよ。
遠吠えだけに、やや遠かった。

文章そのものはそつなく軽快で上手いので、特に引くことはしないでおきます。

【+5】 パチンコ屋怪談

2007-02-11 14:45:51 | 講評2007
内容: 3
文章: 2

一つ一つは小粒のように見えます。
全体は更に好印象です。
いかにも管理職らしい実直な書きぶりによって
数々の怪異がストレートに加算されていくような。

また一箇所で起きた話なのだから、見えている断片は小さくとも
その母体たるものを想像すると、もしかするととんでもない話かも知れないです。
時間を横断的に継続していることと、相手を選ばないことを考慮するとそれだけで
心が躍るものがあります。

文章的には先に触れたような実直さ、正直さがこの場合のベスト。
またこの場合の説得力の肝でもあると思うわけです。
途中の寮の説明は、カウンターの前を横切る人影の話と
その他の体験を分ける意味で(実際に粒度も違うので)さり気なくここに書いてあることで
呼吸を整える意味でよかった。
ただ書き方としては工夫の余地があると思われます。
まず全体の大まかな構造を打ち出しておいてから
「~と~を~が仕切っている」というように書いたほうが解り易かったでしょう。
「~があり、~へつづいている」と部分部分を書くと、読者は細部の情報から
全体を自ら組み上げねばならないため、ちょっと一手間あるし
出来上がった全体のイメージが正しいと即座に確信出来なくなってしまう。

そうなっていれば、技術点+3だったかも。
内容としては個々の新規性は殆どないと思われるのですが
全体から受ける説得力からして新規性はあまり重要ではないと考え+3とします。