夜のブログ

講評です

【-2】細胞記憶

2008-07-31 10:26:44 | 遺伝記
# 種作品の講評はあとのお楽しみに取っておこうと思ってたのですが、流れで。

お話的にはもう一捻り欲しいところ。
捻る役をかなり濃いキャラ二人が担っているということかも知れませんがちょっとくどい。
行儀良くくどいから、どうも棒読みになってしまう。

SFとしてはライト向けのような気がします。
用語の精度が割とアバウト。
コンバート前に復号化しないといかんだろうと。
復号化についてのみ記述して変換についてはブラックボックス化したほうが説得力あったと思います。
なにより一番気になったのは「メモリする」という言葉。これはコケます。
ここは「ストアする」と言う感じで使い分けて欲しかった。
装置として扱うなら、どんな場合でも読み込みと書き出しは明確に区別されます。
メモリするでは曖昧な上に、まず使わないので。

資金繰りという最も大きな問題についてフォーカスしたのは素敵。

そういえば後続作品にも渡って細胞記憶が破壊読み出しであることが説明されてないですね。
つまりコピーできなくてムーブ扱いになっているのはなんでだって話ですが。
この点は特に不満。


【+4】神木作成実験経過報告

2008-07-31 09:49:19 | 遺伝記
ああ、好きだなぁこういうの。
唯一惜しいのは、説明のある設備は測定機材ばかりで作成じゃなくて測定の実験になっているところ。
(作成実験の過程としての測定だったのかも知れないけど、それにしちゃ仰々しい設備だよね。サンプル持って帰ろうよ)
まぁ、当たり前の話ではありますよね。だってご神木作る装置なんてないんだから。
しかしそこを想像力でカバーするのがSFに求められるところなんじゃないでしょうか。
読者でなく、著者に求めたいところ。

オチはよくわからない。
消えたのはファイルだけじゃないよってことかと思ったんですが自信はないです。

あと普通はファイルシステムが吹っ飛んだらPCが起動しないと思うけど、PCは落ちなかったのかな。
PROMか何かから起動したんでしょうか。
細かいことは気にしないけど、ここは細かくないでしょう。

まぁオチのことさえ気にしなければ途中まで楽しく読めました。
でも一般の人はまずプローブとかFFTなんて言われてもまずピンと来ないよなぁ。
実際の点数は+1か+2かなぁと思いつつ、SFなのでサービス+3。

「細胞記憶」などライトなSFはこれまでもありましたが、一番しっかりしたSFしてるのはこれだと思うので。

【-6】わさわさわさ

2008-07-31 09:25:56 | 遺伝記
掛け合いがくどい。
お話自体もそうだけど、掛け合いも平凡な部類のように思います。
全体的に何もかも漫然としてる。
文章でお笑いを表現する場合はやっぱり突っ込み入れたらダメなんじゃないかな。
突っ込みは読者に任せたほうがいいんじゃないだろうか。
それ以前に笑いどころを突っ込みまで遅延させるのってどうなの?ボケで殺してください。
ところで突っ込みでハイキックとかどうですか?実際松本ハウスという人たちいましたが。
テレビ的笑いをそのまんま文章でってのは短絡だと思うわけですよ。
僕はテレビ的笑いをそもそも好かないけど、それをそのままノベライズしちゃうのではなぁ。

実験室だと思って読んでたから最後は混乱しました。
地滑りして木が立ったまま丸ごと沈み込むことがあるってことは説明してもよかったんじゃないかな。

要所要所でtypoしてるのがつらい。
LORDじゃなくてLOADだから。
データーじゃなくてデータだから。
USBに落とすってのはあまり正確な表現じゃないなぁ。
確立→確率ってのはまぁ誤変換としちゃよくある部類なので。

木がUSBホストデバイスになるってところはちょっと面白い。

【-1】決意の理由

2008-07-30 04:53:01 | 遺伝記
ああ、最後まで読むんじゃなかった。
途中まではどうなるんだろうと面白く読んでいたんですが。
僕としては人の話が好きだなぁ。
あと最後連れてこられたところはもう少し状況を書いて欲しかったかな。
積まれて燃やされそうなのか鉋でも掛けられてるのかとか。

しかしアクションっぽいところを一人称で書くのは難しいですね。
NHKラジオのプロレス実況はこんな感じかとか思ってしまった。


【-2】タバコの加護

2008-07-30 04:36:35 | 遺伝記
不連続で、メモ書きっぽい。
後半で二カ所くらい話のつながりがおかしいところが気になって気になって。
途中から間違えて違う話をコピペしてしまったのかと思いました。

訳もわからず群がってきたり、なぜか自分だけ回ったりと、待っていたりと結構面白いとは思いますが
結論にはちょっと無理がありますね。


【-2】括り祭り

2008-07-30 04:25:08 | 遺伝記
ご神木視点で、くらいならまだ解りますが主体になってしまうのはどうなんだろう。面白いんだろうか。
よほどご神木が好きならば面白いのかも知れないけど。

プロットはかなり面白いです。
けど妙に他人事っぽい口上でぽんと語られ、ぽんと終わってしまった感じがあります。
面白いはずだと思うんだけど読んだ印象は逆。
書き方を間違ってしまったのかな。
これといって妙案も思い浮かばないんですが。


【-2】我が世の春

2008-07-30 04:10:45 | 遺伝記
枝の力も部下の恨みも、我が世の春の喜びも、どれもあまり上手く生かせなかった感じが残るなぁ。
部分で見ると生きてるんですが、最後まで読むとぼけてしまうというか。

例えばお話の本流が出世ということになってますが、中間管理職に出世がそんなに嬉しい気分は解らないなぁ。
そりゃ給料は増えるでしょうけども。
ハリウッドのスーパースターとかじゃないんですから。
所詮サラリーマンですから、やな奴でも世話になっていかないといけないですし。
そういう意味ではかなり現実離れした話で、いかに嬉しいか書けば書くほど遠くに行った感じがします。

一方で枝の力が知らず知らずに暴走してる感じはあって、そこは良かったです。
しかし期待の高まる副作用のほうは、楊枝に絡んでどちらが主役なのかボケまくったまま終わってしまった。
ちょっと欲張りすぎたかな。


【+5】赤い塊

2008-07-30 03:54:22 | 遺伝記
前半は今ひとつ乗り切れないものがあったけど、婆ちゃんが死んでからの描写は凄い。
生き生きしてる。
黒棒とかね、チーンするとき、とかね。
ばあちゃんの死を挟んで対象になってないんですよ。
どっからか黒棒とか沸いてきてるんです。それが凄い。
それは梅干しの種なのかなんなのかよくわからないけど。

そしてこの話を出してくる勇気も凄い。
面白いとか怖いとか素晴らしいとかじゃない。凄い。

これは創作ホラーであることでもありますし、お話はお話として評価して
つげ義春さんの「ヨシボーの犯罪」を読んだ時と似たようなテイストを感じました。
みんなが目を背けたくなる、実際に目を背けているっていうのはある意味ではホラーの本質だと思います。
やたらにインモラルばかり全面に出すと品がなくなってくることはありますけども
そこは(そのお話だけじゃなく)全体のバランスとの兼ね合いといいますか。


【+5】実演販売

2008-07-30 03:17:51 | 遺伝記
このすっとぼけたおっさんのキャラがいいですね。
軽々と祟りを国中に広めるよう命令されたのさとか語っちゃうあたり怪しさ満点ですよ。

最後までおっさんの怪しさを残すオチもいいけど、まな板買うとどうなるかも知りたいところです。
そこもう一声あれば。

【-6】堀田春とあるカバンの修理

2008-07-30 03:03:00 | 遺伝記
まさかの第二弾。

しかも一作目とはまったく逆の発想で書かれているという力の入りようで飽きさせませんね。
明日はないかのように突き進む一作目と異なり、二作目は掘ります。掘り下げてます。しかも自分の足下を。
老獪な印象が出てきました。
まったく性格が出ます。

見所はますます扱いが軽くなって役まで変わった悲劇のヒロインと、
ますますお求めやすくなったSDカード1GB。
そりゃ分割手数料も負担してくれますわ。

点数は全米が泣いた奇跡の-6。
ブラボー。