夜のブログ

講評です

怪路、昨日発売でした

2010-05-29 04:46:26 | 仕事
ある家の廊下に、ずっと誰か立っているという話を伺いました。
越してきた最初から、四六時中誰かの気配があって、最早当たり前のものになってるらしいのです。
怖くないんですかと聞いてみると、不気味だけど怖くはないと言われました。
あれは「地縛霊」で家族とは無関係だから……と。

またある人は空飛ぶ首を見ています。
人間の首から上、下顎の部分までが目線の高さをスイーッと飛んでた。
それも一つじゃなくて四人だか五人ぶんだか縦列して飛んでたんですって。
びっくりしたけど怖くはなかったとか。
あれは「浮遊霊」で通りすがりのものだから……と。

そんなナントカ霊だのの分類が未だに言われていることも驚きでしたが。
僕は反論なんかする立場にないです。
彼らがそう主張するなら、きっとそうなんでしょう。




昨日、怪路発売でした。
すみません、一日遅れで。……深澤夜です。

amazonさんや、お近くのコンビニでも取り扱われていると思います。
何卒よろしくお願い申し上げます。
恐怖箱 怪路(Amazon)

ジュンク堂さんとか紀伊国屋さんとかセブン&Yとかのほうが早そうです。
amazonさん、どうも「6日以内に発送」となっております。
どうしたことでしょうか。翌日配送でお願いしますよ。
僕プライム会員なのに。
ああっ、ええとそういうことじゃないな、これは。
在庫がないってことでしょうか。
もしそうなら嬉しいやら悲しいやら。いや、実際のところ何かの手違いなのじゃないかと思います。
献本もいっぱい頂きましたし。

普段は二人とか三人とか、十三人とかいやいやもっともっとという人数で一冊書いてますので、
頭割りすると献本が二冊とか三冊とか。
多くても十冊なくて自腹を切ることもあったのですが、今回はお話が10ありまして、献本はその何倍も来てるわけです。
一人で書くとこんなに頂けるものなのですね。
銭形刑事でなくとも「うわー、献本がこんなに~!どうしよう?」ってなっております。

というわけで、是非皆様のお手元にも、一冊置いていただきたいなぁ、と思います。
お陰様で一冊まるごと不吉な代物になりましたので。

多分今後僕は多方面からお叱りを頂戴し、またあるいは「どうしたらこんなに偉そうな前書きが書けるのか」と相談されることになると思います。
本当は素で書きたいのですよ。
でもそれじゃ何某かの期待を持って本書を手に取って頂いた方々に申し訳が立たないだろうということで、ちゃんとしましょうとああなっているわけです。
(ちなみに、今回前書き初体験でした)
普段からああではありません。そう思われたら困ります。

宣伝だけというのも何ですし、かといってまだ内容については触れられないので、後書きについて裏話を少々。

後書きといえば、「しおづけ手帖」では僕が後書き担当でした。
後書きはよいです。前書きと較べれば幾分気が楽です。
お礼の気持ちを述べればよいわけですから。
洋書みたいに謝辞を前に持ってきてはどうだろう、と思わなくもないですが、怪談本としてはそれもどうかという気も致しまして。
「しおづけ手帖」の後書きは、少々トリッキーな構成になっておりまして、関係ありそうでなさそうなメッセージを何の脈絡もなくブチ上げて、さらに僕が松村進吉さんを取材するという形式になっています。
なんとなく、それが一番相応しいように思えたのですよ。

今回は最後の「キ印人形」の最後をやや引っ張る形で後書きにしました。
後書きに「現在」と副題が振ってある通り、できればお話の終了できっちりと切って、取材当時のコメントは全部後書きに食い込ませたかったわけです。
それというのも、キ印の話をご紹介するにあたって、少し変わったアプローチをしたせいです。
ですが後書きから読む人も居るだろうということで僅かになりました。
……で、後書きは正直困っていたのですが、加藤さんから担当女史のお話を伺ったので取り留めのない話は切って、そちらを使わせて頂きました。

また前回後書きの冒頭でブチ上げたような、関係ありそうでなさそうなメッセージは今回は前書きに入れました。
前書き全部ムードメッセージです。なんとなく締まりが悪いですよね。
実は前・後書きにはまだ仕込んだテーマがあります。
体験談の選定にも、その裏のテーマが大きく影響しています。
それこそが旅路の目的地と言えるわけで、それに気付けば旅路はまた様変わりするかも知れません。
みなさん気付いていただけるかどうかわかりませんが、何かを主張するのは僕の仕事じゃないということで、まずは旅路を楽しんでいただければと思います。

では重ねまして恐縮ですが、恐怖箱 怪路をよろしくお願いいたします。

恐怖箱 怪路、校了

2010-05-15 14:45:40 | 仕事
ご無沙汰しております、深澤夜です。
去る2010/5/13くらいに、怪路が校了したそうです。
ふー。終わった。

締め切りを4月下旬と言われておりまして、ぎりぎりまで粘って原稿上げたのが4月末。
その後トラブルもあって、校了までの緊張感ときたらもうね……。
お話を頂いたのは一年くらい前なので時間はあったはずで、ここまで追い詰められたのは自分のせいなんですが。

単著だったら今まで出せなかったネタを中心に出していきたいな、とは考えていたのですけど
それを昨年秋の「しおづけ手帖」で松村さんとやってしまいまして
まぁ打ち止めとまではいかないまでも結構「やりきったなぁ」感があったわけです。
ネタも大分出してしまったので去年決めたようにやるしかなかったんですけど続けて同じテーマもなんだなぁ、と。

そこで今回「恐怖箱 怪路」では更に絞って、時間軸を辿り、奥行きのほうへ進むことにいたしました。
これは僕のこれまでの仕事ぶりからすると、少し違うように映るだろうとも思います。
一方で殆どが色々あってずっと寝かせてたネタ。僕からすると「ようやく……」と感慨深いものがあります。
ああ、やっとこれが出て行くんだな、と。
しかし浮かれとるということはないです。苦しいです。

……と、そのようなことを4,5行に詰め込んであとがきに書くはずのところ、最後にトラブルが起きたのでそっちのほうを書いてしまいました。
代わりにこっちに書いておきます。

内容についてはまだ発売日前なので、当然ここでは触れませんが、例によって胃が痛いです。
これまでも楽観的な気分で出した事なんてただの一度もないですけど、今回はずっと痛いです。
力加減の難しい話ばっかりになってしまって、それでも少しずつハードルを上げていかなきゃ最後の一作までたどり着けない。
特に最後の話は、大分寝かせてしまいました。
これまで方々にそれとなく相談してみたりしたところ、やっぱ無理だ、寝かせようと。
それでもこれを書かなきゃ死ねないくらいの気持ちでおりました。
読まれれば納得されると思いますが、単著でなければまず不可能です。
これ一度切りのチャンスだと思って書きました。後悔はしてません。
お叱りを受けようとも、やれることをするしかないのは毎回噛みしめてきたことですから。
反省はしてますけど。

時間があったのでゆっくり書いていたのですが、4月になって見返すとどうもいかんのです。
文章がいちいち怠い。ゆるい。
最後の数週間で大部分書き直しました。これが本当にえらい大変で……っていや、そんなことじゃないや。
結果、4話、70ページ以上没になりました。いい話ばかりだったのですが、全体のバランスを考えた上でのことです。
(ゆるいから書き直してページが膨れるってどういうことだって話ですけども、極端に短くなったわけでもなく、没にするつもりだったのを急遽復活させたものもあります)
直前までご連絡していた方には申し訳ありませんでした。


えーと、それで、発売はいつなんだろう。
Amazonによると5月28日だそうです。
ひとつよろしくお願い致します。
一緒に冒険しましょう。
恐怖箱 怪路