夜のブログ

講評です

【+5】 金縛らず

2007-02-22 02:36:48 | 講評2007
内容: 2
文章: 3

紆余曲折あるのは理解できますが
さすがにタイトルには少々無理を感じますね。
むしろ「金縛られるのもいいかも」とかどうですか?
いや、それじゃ「金縛れ」と同じか。

そしてこの最後。
これはかなり好きです。
外人が、とかじゃなくて。
怪談のぶん投げ方はこの辺が難しいように思えますが
これは非常に丁寧な暴投で、匠の技を感じますね。

怪異自体は怖くないけどかなり不快。
(だって不快でしょうよ)
そのうち凄い体勢で寝ないといけないことになるんじゃ。


【+4】 奇禍

2007-02-22 02:11:34 | 講評2007
内容: 2
文章: 2

まさしく奇禍としかいいようがありませんね。
で、これだけ続くのならいっそ伝聞の伝聞になる「運転席に黒い人影が」などは
切ってしまったほうがよかったようにさえ思います。

事故・不幸がこれだけ続くとそれは不気味ですが
6人目に至って不気味さ最高潮。
最後の一行も危ないものを引き受けてしまった感が残り良いですね。

ていうか社長は労災続きで焦りはしたんでしょうけど
噂が立ったあたりでもう引けよと思うわけです。
もうこれは単純な利益主義とかそういう問題ではない気がします。
多少縁起を担ぐタイプだったとしても「新車だから」という油断があったのかも知れません。
真実利益追求を目指すなら、寝かすより節税のために廃車すると思うし。

ただ駄目押し的に見える7人目は敢えて詳しく書かないほうが良かったかなと思います。
せっかく6人目の出来事を臨場感を交えて書いたのですから、そのまま終わる手も
あったかと。

【+6】 禁域

2007-02-22 01:45:35 | 講評2007
内容: 3
文章: 3

本家超怖にもマタギの取材に山の禁域に入る話がありましたね。
しかし孤独さという点ではこっちのほうが上です。
マタギの爺さんに聞きなれない言葉で脅かされるよりも
高度な技術が必要になります。

その上での空腹感から、身悶えするような胡麻を食うところは
敢えて落ちが透けて見えるからこそ怖い。

書き分けも堂に入ったものだけど、やや文が細切れ過ぎて
少々淡白な印象があります。
Webだと見やすくていいんですけどねぇ。

ご馳走様です。腹が胡麻でいっぱいに。

【+5】 枝の上

2007-02-22 01:13:37 | 講評2007
内容: 2
文章: 3

ああ、これは良い話だ。
親父さんは凄いトラップを仕掛けたものですね…。

この話の肝は駐車場の木と自殺の因果関係が解らないことでしょう。
著者もそこを理解して、ある意味で後日談の「今でも借り手がつかない」件を
最後ではなくて最初に、そして「親父も教えてくれりゃよ」というのを
最後に据えています。

強いて言うと小人の印象が結構強かったので
大前さんが木を切ることと自殺の関係はわからないと言っても
「えー、そりゃ小人のせいだろ」と思ってしまいそうなところが惜しい。

木を切ると罰が、みたいな話は各都道府県にひとつずつくらいはありそうですけど
この話は小人のキャラクターや親父さんに対する深いぼやきで
充分通じるネタだと思いますし、調理法は更に素晴らしかったです。

【-2】 誰の?

2007-02-22 00:57:05 | 講評2007
内容: 1
文章: -3

窓の外を通る怪異というのも結構ありますが、毛だけというのは
聞いたことがありません。

この種の怪異の良さは、人の居るはずのないところを何かが通るというだけでなくて
窓という切り取られた狭い視界を何かがスッと横切り
その異変に気づくまでのタイムラグに秘密があるのだと思います。

で、そう考えるとこの話は「窓を横切る人影」の怪異には当てはまらないわけです。
教室は一階にあったかも知れないというのに、通るのは明らかに人じゃないから
そこのところはどうでもよくなっています。
しかしもう一方の時間差のほうはどうでしょう。
教室の窓だから、かなり大きな視界です。
そこを歩くような速度で、髪の毛だけが…。あれ…なんか変だ。
それだけゆっくり怪異が展開すれば、その間に騒いだり喜んだり色々出来るはず。
著者はこの話が既存の「窓を横切る人影」譚とは異なることを理解して書いたなら
この微妙な「間」の存在について、何も書かずにやり過ごすものでしょうか?
きっとこの部分が、この話がなんとも中途半端に思える原因のように思います。


タイトルが「誰の?」なので、誰の毛?ということなんでしょうが
それは果たして重要な問いなんでしょうか?
文章的には冒頭に書いたこと殆どが無駄になっているという点もちょっとなぁ、と。
5年前というのも重要?
部の報告会って色んな部の合同の総会みたいなもの?

そういう「それって重要なの?」ということは書いてありますが
毛の形状とか大事なそうに思えることがなかったりします。
かなり苦しんだのではないかと思いますが、やはり理解しがたいなぁ。
そこらへんを総合して、この作品の調理法という点ではかなり大きな疑問が残ります。
技術点にはかなりそれを重めに乗せざるを得ないかな、と。