【-1】 オレンジ色のトレーナー

内容: 1
文章: -2

動物的直感は雄弁なものですから、それが警告を発して
振り向けない状況というのはかなり怖いです。
逆に何もないとわかっていても振り向けないこともありますし。

ただ、この話はそれだけでよかったような気がします。
職場のWさんが肯定したから皆納得するわけじゃないですから。
むしろお母さんに相談するべきだったと思います。

文章スキルは実直さが良いですが、句読点が多過ぎます。
ただそれならもっとストレートに書くか、色気を出すかどっちかにしたほうが
良かった点もちらほら見受けられます。
あとやはり色々な点から言って、お母さんについてはあまり言及しない方が
よかったように思います。
その辺を鑑みて、技術点から-2しておきます。

【+5】 カミ 二題

内容: 2
文章: 3

お得感のある二部構成。
今年は一作品ごとの基本得点ってないんでしたっけ？
あるんだったら勿体無いな。

点数的にはどうしたものかと迷いますが
全体で一本と考えることにします。

内容的には良いです。
前半で有名な怪談に似たパターンを取っておいて
後半でしっかり裏切り、脱毛という生理的なというか
社会的な怖さも持っているようです。

文章的にもそつなくグッド。
あっさり無難なので、+3にしようかどうか迷ったのですが
2題詰め込んだ英断も技術のうちと考えて+3にします。
どちらかのみであっても食い足りなさが残ったかも知れませんし。

実は僕も2題に挑戦しようとしたことがあるのですが
いかんせんストックから共通の話を二つ持ってくると
片方が重くなりすぎたりして挫折した経緯があります。
たまたまっていうこともあるだろうけど、かなりのネタ本数を
ストックしていなければ難しいことでしょう。

【+1】 視線の先

内容: 1
文章: 0

うーん実験作？
というわけでもないのかなぁ。
仮に実験としても、「」で囲った中に全部詰め込むなんて
何か意味のある実験とは思えないし…。
まぁ楽でいいのかもねぇ。
順序よく解り易く書かれているし、発端から現在に至る経緯も
ちゃんと解る。
読み物としてどう？という以外は別に悪くない気がしてます。
この内容なら、噂話をしているっぽく書いたほうが
いいんじゃないかと思うのはあんまり楽観的かな。

内容はというとなかなか興味深いですね。
続報が気になるので+1しておきます。
文章はどうのこうの言っちゃいけないんだという気がしてきたので
採点不可能。

【+4】 祭囃子

内容: 3
文章: 1

どうも一人称の話を立て続けに読んだせいか、乗って来るまで苦労しました。
主語を省き過ぎかなぁ、という気がしましたよ。
著者とどういう関係にあるのか解りませんが、教師に「おられる」は
ないだろう、とか。その割りに最後は「言った」だし。
あー、我ながら細かくて嫌だなぁ。

内容はかなり怖いです。
焼却炉に人形がどっさりでしょう？
その後でまだ終わらないのも良いです。
深夜の住宅地は赴きがありますが、不気味なものですね。
心細さが出ており好感です。
あっさりと怪異の主軸が移動するラストも怖い。

文章的には+2くらいを出したかったのですが最初に挙げた部分と、
> と。
> 人形。
というシーケンスがややあっさりし過ぎているというより
前段の何となく開けてしまい何となく見てしまうのがちょっと
急過ぎた感があったのでちょっと引いておきます。
暗い上に燃え残りは奥に沈んでいるので
意図的に見ようとしないと見えないんじゃないかとか
そういう説明があっさりと省かれていたので急に思えたのですね。