夜のブログ

講評です

【0】 万力

2007-02-28 02:06:42 | 講評2007
内容: 1
文章: -1

どうもなぁ。
この自転車がとんでもない事態に陥ってるときに
なぜベランダの女性に目が行ったんでしょうか。
それが消化不良。
もっとも、大声を上げたとのことなので反射的に最後に見た人に
助けを求めたのでしょうけれど、そこが書いてあれば
藁にも縋る感じが(解りやすく)伝わってよかったんじゃないかと。
ただ女性を見たのではなく、いきなり光ったように「思えた」ということなので
そういう単純な問題なんじゃないのかも知れない。

全体の地の文は緊迫感のある書き方でしたので実に惜しい。
惜しいといえば台詞も惜しい。
うーん、残念だけど-1でしょうか。

内容は投げたというより純粋に意味が解らない、何かに化かされたような話なんでしょうか。
テレポートだと考えるとかなり強烈なんですが。
街中で化かされる話というのも珍しいと思います。

【+5】 虹色

2007-02-28 01:47:57 | 講評2007
内容: 4
文章: 1

…離岸流?
とは違うんですけどね。何となく思い出してしまう。

それは虹じゃない、いったいなんだったんだ?
使途?マトリエル?いや、アルミサエル?

面白い。

【-2】 つまみ食い

2007-02-28 01:14:42 | 講評2007
内容: 1
文章: -3

うーん、これはまた難しいな…
アイスを「つまみ食い」というニュアンスの変さは如何ともしがたいですね。
「横取り」とかにしたほうが良かったんじゃ。それはまぁ余談ですが。

一番のポイントはやはりこのアイスクリームが消えたことでしょう。
消えたこと自体は不思議だし、張り付いてる女は(特別目新しくないとしても)
怖いものですが、どうもそれ以上の感慨に結びつかない気がします。
その原因はというと、冒頭で真冬にアイスクリームを食う変態性が強調されているせいで
2月の真冬にアイスクリームを横取りされた人の気持ちというのが実感として
伝わらないようになっているからと思います。

もしこれが夏の話だったら自分の立場に置き換えて
「おばけもアイス食いたかったんだね」とか
「おれのアイスをどうしてくれるんだ」とか色々沸き起こるものがあったように思います。
いくら夏だって、すれ違う数秒の間に溶けてなくなってしまうことはないですし。
夏だという必要はなくても季節については伏せたほうが良かったでしょう。

真冬、アイス、横取り。
そしてこの必然性のなさが

> それ以来斎藤さんは帰りの食べ歩きはやめたという

こういう風につながることが、僕にはよく消化できないのでした。

文章的にも長台詞に頼っているし、下手をしたら斉藤さんの語りのほうが
地の文より優れているのがつらいところ。
あとですね、アイスクリームっていうとイメージが限定されますが
斉藤さんが食べながら歩いてるのはアイス一般の氷菓子ですよね。
斉藤さんも「アイス」としか言ってないのに、地の文には「アイスクリーム」と
表記しています。
それら諸々を総合して、技術的にはこの点数かな。

【+3】 乾麺

2007-02-28 00:33:40 | 講評2007
内容: 1
文章: 2

親子喧嘩ってこういうつまらないことで行われるんですよねぇ。
懐かしいなぁ。
富永君の苛立ちがよく伝わってきますよ。
短いながら、この苛立ちは本作で最も伝えるべきものだったでしょう。

怪異はポルターガイストみたいなものかな。
多感な年頃でしょうし。
高校生男子が起こすというのも初耳。そこが新鮮。

【+2】 アルバイト

2007-02-26 03:08:20 | 講評2007
内容: 1
文章: 1

サクラと言ってもこれは景品不当表示なサクラじゃなくて
客がいるように見せているサクラですね。
実際以上に出玉がいいように見せるサクラは勿論駄目ですが
(友達の店にはいたけど)
スタッフとしてなら借りることが出来るそうです。
そもそも釘師はメーカーの人中心なそうですし。
そんなところで以下が講評。

ヤクザ問題を解決せずに女性客を増やそうとする店が恐ろしい!
という話じゃないのですけど、どうも本筋にあまり関係ないはずの
ヤクザ問題に乗っ取られてしまったように錯覚します。
怪異そのものは「賽銭」と同じような部類でしょうが
こちらは視覚に訴えてくるものなのでより面白いです。
ただそれが「白いモヤ」とは正直言って少々がっかりしないでもない。
遊具は文句言わないからいいですけど馬は気の毒だな、と。

技術的にはやや冒頭が重すぎたという気はするものの
基本的には過不足ない、好感の持てる書きぶりかなと思います。

【+4】 黒玉

2007-02-26 02:35:14 | 講評2007
内容: 3
文章: 1

内容はグレート。いやはや。

肩肘張らない文章も好感です。
ですが短い「」書きの台詞が多いので、間延びした印象があります。
ここら辺は利点と欠点が表裏一体と思いますので
がんばってうまい折衷のやり方を探していただきたいと思います。

さり気なく黒い生き物の様子を描いているのも勿論好感でして
より近そうなウナギなどの可能性も潰して欲しいなとは思ったんですが
配点への影響はなしということで。

【-6】 悔恨

2007-02-26 02:25:09 | 講評2007
内容: 0
文章: -6

怪異といっても別に不可能なことばかりではないでしょうから
「他にいくらでも説明はつくけど、これは怪異なんだ」ということもあります。
ですがその認識や区別なしに書いてしまうのは別の問題ですよ。
確かな根拠である必要は必ずしもないと思うのですけど
少なくともこれではピースが足りてないでしょう。
いや足りないどころか、著者が付け足したと思われるピースのうちに
余計なものが混じっているとすら思います。

タイトルが「悔恨」ですが、全然内容に一致しません。
悔恨する人間が一人いるとすれば銀縁でしょうが
ただの夢じゃない場合でも、夢の中には悔恨の情は現れていないから
(現実にも、逆恨みで女性の後を追い掛け回すだけ)
著者の主張とは噛み合わなくなります。


これが体験者の独白ならまた違った見方も出来るのでしょうけれど
これは曲がりなりにも超怖の体裁をとっています。
著者としての意図が働いているのは明白です。ですからちょっと看過できない。

文章そのものも明らかに書き慣れていない風ですからね。
これでは得点らしい得点は出せません。

【0】 駅の人混みで

2007-02-26 01:25:47 | 講評2007
内容: 1
文章: -1

話としてはよくあるタイプのもので、それ単体では評価は出来ません。
著者が何を言いたかったのかというと佐藤さんの人柄でしょう。
そこに+1。

本当にそれだけならよかったのですけど、どうもノイズがあるように読めます。
著者はこのネタで怖い話が書けると思っている節があるようで
やたらに持って回った書き方に転ぶ傾向があるように思えます。
それもステレオタイプなのであまり気にはならない人も多いでしょうけど
僕としては結構気になりました。
「」の中の台詞なんかは良かったんですがね。

あとこの話のタイトルにもなっている結論なんですが、本当にそうなんでしょうか?
四六時中駅で目撃されているわけではなくラッシュの時間帯のみなら
佐藤さんが今も皆と同じに生活していたとしても駅で目撃される可能性はあるわけで。
だったら、実は佐藤さんは会社にも来ているんじゃないかとも思うのですが。

【+3】 ちどり足すくみ足

2007-02-26 00:55:05 | 講評2007
内容: 2
文章: 1

久しぶりに実験作らしい実験作を拝見。喜ばしいことです。
怪談に限らずショート・ショートではよく見かける主語なしで
これはこれで面白かったかな。

内容も面白かったですね。
「私」の狼狽ぶりが伝わって来ますしね。
特に家の前で立ち止まられたときの嫌さは格別です。
楕円形の何かということで、せっかくなのでラグビーボールとか色々考えてみました。
また実に地味な恐怖ですが、バスケットボール大というのもまた嫌ですね。
大き過ぎるので。

しかし解りにくい箇所も存在しており、こういう書き方は難しいものだなと
考えさせるものがありますね。
一番引っ掛かったのが二段落目の冒頭で自販機に向き合うところ。
一段落目の最後のほうで、読み手たる僕の意識は語りに導かれ
とっくに自販機でコーヒー買って5つ目の外灯の下にいたわけです。
大きな障害ではなかったけれど、そういうこともありますということで。

【+1】 石油ストーブの灯火

2007-02-26 00:22:41 | 講評2007
内容: 2
文章: -1

内容と文章が合ってないなぁ。
もっとストレートに書いたほうが共感できたと思うんですけどね。

内容はとても好き。
寒がりな人にはこの気持ちがわかるでしょう。

ただ最後で、読者が感心するところで著者が先に感心してしまうのは
やっぱり頂けないなぁ。