夜のブログ

講評です

遺伝記:イースターエッグ

2008-12-31 15:07:40 | 遺伝記
どうもー。hydrogen(深澤夜)です。こんにちは。ご無沙汰しています。
遺伝記では1位になれました。
あまり実感ないので、ありがたやと東の空に向けて拝んでおくことにします。

嬉しいのですけども、なにせ順位に拘りがない性分ですのでイヤッホゥ!と飛び上がるわけでもなく「一等賞」の立て札を持って隣の晩ご飯に突撃するわけでもなくただ恐縮のきわみであります。
で、恐縮ばかりしていたら2008年も今日で終わりらしいという話を聞いて何かご挨拶のひとつ差し上げて区切りとさせていただくのがスジってものじゃないかという気分になりまして。はい。

そこで大した物ではないとは存じますが、拙作のちょっとした小ネタを紹介しましてご挨拶に替えさせていただければと。
(以下はネタバレを含んでいます)



長市の祭:
ニッタという名字は当然最初から決まっていたのですけど、長市の名前にはちょっと悩みました。
お金持ちっぽい縁起のいい名前で、なんとなく長男ぽい響きを入れておきたかったいなーとは思っていたのですが。
そこで「超-1」からもらってきました。
チョウワンと読むのが正しいらしいのですが、発声する機会のないうちに僕のなかではチョウイチになっておりまして、加藤さんから電話で採用の連絡をいただいた際に「チョウイチ」と発音して「チョウワンですね」と軽くいなされた経緯がありまして。


ウミガメのスープ:
「一体どこに植物が関係あるんだ!!」とお怒りの向きもありましょう。
クルーザーを見て「(コーティングしてあって木には見えないけど)木だ!!」って思う人あまりいないでしょうからあんまり明確にはしてませんが、微妙に入れてはあります。
でも本作では一番重要な木を形而上に収めてあります。
ウミガメのスープのような推理ゲームで用いられる論理構造は「N分木」、典型的には二進木として知られるものです。
これは非常に人気のあるデータ構造でして、順列のある木構造をしています。


アンリ:
アンリの元ネタは「瓜二つ」でしたが、元ネタに出てくる畑仕事をする木偶というのを
案山子と考えて、案山子の子は案山子だろうということで「うりこひめの正体はカカシだったんだよ!」というMMR的解釈の元で生まれてきた話です。
「ナ、ナンダッテー」と言われてしまいますんで、伏せてますけど。
名前は山野安李。
「野」を取って「李」をバラし、間に山を入れると案山子になります。
中山安李にしておくべきだったな。


崖:
これはブリッジ。
「黙死」のような良作と仲良くしたかったんです。


堀田春と魔法の杖:
ブラックコメディってたまに笑えないところありますよね。
そりゃもう色々な意味で。
「笑えないっていうかむしろ怖ぇよ」ってところもあるし、「そりゃダメじゃね?(倫理的な意味で)」ってところも。
この辺のポイントは微妙な境界線に載ってまして、たまたま一昨日映画「ダークナイト」の話で盛り上がったときも「ジョーカーが鉛筆を消すトリック」について「笑った派」と「怖かった派」に別れました。
イギリス人のDさん曰く「ああいうのは、アメリカの映画によくあるジョークだけど、イギリスでは暴力的過ぎて笑えないと思う。タイミングはコメディなんだけどやってることは怖い」。
僕はDさんの意見に全く賛成。映画館では笑ってる人が多かったな。

堀田春と魔法の杖に出てくる専門学校は基本的に詐欺という設定で書きました。
設定からいえば舞台となる世界観は現実と同じ。魔法は存在しません。
それでもスーパーパワーをちらつかせて学生を釣り、就職先はないというオカルト商法を展開する学校なわけです。
健康志向、エコ志向のオカルト商法なんて現実に山ほどあります。
なので通販のやつを入れました。
もしあれでホンモノの魔法アイテムが買えたら?っていうことですね。

最初の予定では、学校に手入れが入って資金繰りが悪化し経営破綻エンドでした。
ある朝、堀田春が学校に行くと
「本日臨時休校」
の張り紙があり、それから毎日臨時休校でしたというオチでしたが、自重しました。


あとは特に仕込んだネタはないんですけども。


リアルひとり鬼ごっこ:
実話のほうで伺ったお話で「ひとり鬼ごっこ」が関係するものがありまして、
そっちの呼び方のほうが一般的なのかと思っておりました。
世の中的には「ひとりかくれんぼ」の呼称のほうが一般的なんですかね。

余談ですけど、「1GBのSDカード」はやはり通販ネタではかなり馴染みますな。
なんかこういう、たいしたことないものでも大げさに言ってみることで言ったもん勝ち、みたいな雰囲気がありますね。
いやまぁ、実際のところ1GBもあれば必要充分ではないかと思いますよ。いばることでもないにしても。
それならなぜタウリンみたいに「1000MB」と言わないのかというのが疑問だったんですけど
単位に濁音が混じってないとやっぱプロモーション的にはNGなんでしょうな。
メガよりギガのほうが強そうだ。
だからきっと1TBが当たり前になった頃には、1000GBと言われるのでしょう。


座布団:
いやもう、これで全部。
悩みポイントはいくつかあって、ぶち破るのは「窓」か「玄関」か。
乗るのは単に「ジェット気流」にすべきか「貿易風」か。
窓ぶち破るのは普通だな、と思ったので玄関にしました。行儀がいいし。
ジェット気流にしたほうがいいかなーとは思ったんですけど、貿易風にしたところで
どっちが特別良いというわけでもない。
太平洋高気圧なら夏の日本にとって生活に根ざしたものなので、ならば貿易風にしようかと。


催涙効果:
これは旧ソのあの有名なジョークを元にしたものです。
かつて共産主義と監視社会は歴史的に凄く深い結びつきがあったのですけど
日本でも共産風味の声が大きくなったり、当たり前のような顔で監視社会化してることもあり、笑えるか笑えないか微妙なセンだということで採用。
もっとも共産風味は抜いてますけど。


意外と可愛い:
後のアンリである、というところ。


幽霊はどう見えるか:
ドキュメンタリー形式でやってみました。
ホラーっていうとウェットな印象があるなかで、サバサバと乾燥したテイストでやってみたかったわけですね。
その結果、企画書で始まってエンドロールで終わる構成に拘ってみたもの。
タイトルも事務的でストレートなものに。