【+3】 訪中

内容: 2
文章: 1

寒々しい風景が思い浮かぶかどうか、そこが肝でしょう。
冒頭で、海岸沿いの「道」と一文字付け足しておけばもっと良かったと思います。
砂浜があったのかなかったのかとかも、Tシャツ男の向かう先ですから
もう少し丁寧に説明があっても良かったかな、と。
例えば砂浜は南国を連想させるから、あえて避けたなどの事情があったのかも知れませんし
読み手が一番寒々しいと感じる景色を思い浮かべるのに任せたのかも知れません。
その辺は良かったのですが、クソ寒いというのはちょっと投げやりな印象があります。

さて、うっかり技術的なことばかり書いてしまいました。
内容はというとこれはかなり興味深い。
ズレた(?)会話の向かう先がどこまでもズレて行く。
不条理ですね。
男が本当はどこを目指していたのかも解らないし、
中国だとして目的も不明ですし。

不思議というよりは不気味な話ですが、どこか馬鹿馬鹿しさがある。
こういう話は好きです。

【+2】 クーラーの効いた部屋

内容: 1
文章: 1

導入の滑らかさが良いですよね。
3歳の姪の描写も無駄になってないですし。
あっさりとした書きぶりにも好感です。

首なしライダー、首なし/首だけ某俳優似とか
色々な首なし譚に遭遇してきましたが
首なしはやはり座っているのが一番似合うのではないかという今日のこの頃。
座っているのがいいですね。

【-6】 いきなり大声

内容: -3
文章: -3

名前を呼ばれる怪異というのは聞いたことがあります。
返事をしなければいけないとか、してはいけないとか
それぞれかなり違いのあるものでした。
この話の場合は「名前を呼ばれてびっくりした」以外の記述がありません。

返事をするなどの何らかのリアクションに結びつかない
或いはそれについての記述がないということは
この話者の中でも自分を呼ぶ者が存在していないことを知っているか
または返事をする必要もないということなんでしょう。
つまり話者あるいは著者のなかで、完全に消化しきっている。

そういう出来事の話を読んでも、怖くはないです。
本人がそう聞こえると言ってるのに不思議だなというのも変ですよね。
読み手として面白いと思う余地がない。
新規性もない。

文章の駄目さはもっと気になります。
特に最後の一行は良くない。
こういう自己完結の上に、好きにすればいいじゃんと思えるような落ちは
去年大会でも散々指摘された実績がありますね。
もしそれを踏まえた上で、狙って書かれたものなら大したものですが。

「変なものを見るくらいなら良いのですが～」という下りも
色々な人の神経を逆撫でするだろうし、挙句その受けが
寿命が縮んでいる「気がする」、とか「奇妙な感じです」というんじゃ
殆ど何も主張していないに等しいでしょう。

僕としては、特に語りの部分で中身がないと判断しこの点数にさせていただきます。