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割合の特殊算として、1回目は相当算、2回目は売買算、3回目は混合算、そして4番手として仕事に関する文章題について、家庭における指導法を伝授しています。
仕事に関する文章題には、仕事算・のべ算・ニュートン算の3種類があり、そのうちの「のべ算」について、今回はその指導法の3回目です。
「のべ算」は、仕事量を「のべの量」で表して解いていく問題です。
したがって、子どもに指導する場合、簡単な例を使って「のべの量」をまず練習し、「のべの量」の概念を理解させることから始めます。
また、仕事に関する文章題である「仕事算」と「のべ算」の違いを区別して解くことができるようにしておくことも大切です。
そうした「のべ算の導入指導」は、前々回の『のべ算…その1・中学入試問題《江戸川学園取手中学校》』および『のべ算…その2・中学入試問題《星野学園中学校》』で解説しましたので参考にしてください。
今回その指導法を伝授する問題は、今年の春に海城中学校で出題された入試問題です。
今年の海城中学校の算数の問題は、大きく6題出題され、【1】は計算を含む小問5題、【2】から【6】までは、小問を2題から3題含む大きな問題で構成されています。
今回取り上げた「のべ算」は、【2】で出題された問題で、小問2つで構成されています。
【2】の「のべ算」の問題は、海城中学校の入試問題としては比較的簡単な問題で、合格するためには落とせない問題と言えます。
4月…明治座前のイチョウの芽吹き
【問題1】
ある地方の特産品の織物1つは、8人の職人さんが毎日8時間作業をしてちょうど3日で完成します。これを新たに4つ作ることになりました。ただし、職人さんたちの作業の速さはみな等しいとします。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)16人の職人さんで毎日10時間の作業をすると、何日目に完成しますか。ただし、完成する日は10時間以内の作業となることもあります。
(2)毎日8時間の作業で7日目に完成させるには、少なくとも何人の職人さんが必要ですか。ただし、完成する日は8時間以内の作業となることもあります。
【ヒント】
それぞれの職人さんの単位時間当たりの仕事量が異なる問題ではないので、「仕事算」ではなく「のべ算」であることが、まず理解できなければなりません。
次に、与えられた条件より、織物を1つ完成させるために必要な仕事量を「のべの量」で表します。
8人の職人さんが毎日8時間作業をしてちょうど3日かかるという条件から、
8×8×3=192(のべ192時間の仕事量)であることが計算できます。
この数値を基本として、問題を解いてきます。
11月…木枯らしの夜、散りゆく明治座前のイチョウ
【問題1・解答】
(1)
織物を4つ作るのべの量は、8×8×3×4=768(のべ786時間の仕事量)。
この仕事量を、毎日16人で10時間の作業をして完成させるという条件ですから、全体の仕事量を、1日当たりの仕事量でわることによって、完成するまでの日数を計算します。
768÷(10×16)=4・・・128
よって求める答えは、5日目……答え。
(2)
1人の職人さんが、毎日8時間の作業で7日働いてすることのできる仕事量を、のべ時間数で表します。
注意したいことは、「少なくとも何人の職人さんが必要か」という問いですから、7日目も8時間働いたとして「のべの量」を計算します。
8×7=56(のべ56時間の仕事量)
(1)で求めた、織物を4つ作るのべの量…「のべ786時間」を上の式で求めた「のべの量」でわることにより、最小の職人さんの数をもとめます。
768÷56=13・・・40
よって求める職人さんの人数は、13+1=14(人)……答え。
今回の入試問題は、「のべの量」の考え方を理解していれば、正解できる基本的な問題でした。
仕事に関する文章題の代表である、「仕事算」と「のべ算」を数回にわたり、その考え方を伝授しました。
次回、仕事に関する文章題のうち、最も特殊な考え方をする、一見難しそうな「ニュートン算」について、その考え方を伝授しましょう。
11月…有終の美を「彩る」明治座前のイチョウ