11月下旬、パリの夜は氷点下になる。
私たちがパリでとった宿、HOTEL TROYONの唯一の暖房施設はこのどこか頼りないヒーターである。
暖かくないし、スイッチがあるわけでもないようだし困ったことだ・・・。
というわけでフロントのアルバイトの男性に尋ねてみた。
「あのヒーターのスイッチはどこですか。どうやったら暖かくなりますか。」
彼は穏やかに応えてくれた。
「暖かくなりますので、そのまま待っていてください。」
確かに・・・。
部屋はほんのり、ほんのりと暖かさが増し、厳寒のパリの夜を心地よく過ごせるほどの暖かさにいつしかなっていた。