私が二番目に入手した歪率計。70歳以上の人では わいりつけい と呼ぶ人もいる。実に大きくて立派なバリコンを使い、1.5オクターブの周波数を二十回転のダイヤルメカで動かす、それはそれはよく出来た機械だった。輝くバリコンケースや精巧なギアメカ、プロフェッショナルによる分りやすく合理的な組み立て等は、感嘆措く能はざる 趣が有った。
然し、然しである。そもそもCR発振器の周波数はフラフラと安定しないもので、歪率計自身のフィルターアンプも温度特性等から、ディップ周波数が微妙に動くのである。歪率が低い場合はディップに合わせてもすぐ漂動するので、ダイヤルから手を離せない。それでも真空管アンプは歪が多かったから十分実用になった。
自動歪率計に慣れてしまった現代人からみれば、“殆ど実用にならない”というのが率直なところだ。
こういう機械でさんざん苦労したあと、自動式に出会ったときは呆気にとられるほどだった。
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