オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

 測定器と、他は過去に学んだことへのコメント。

未知のトランスの測定方法

2012年04月01日 | 測定/オーディオ
未知のトランスの測定方法


 さて、別記の 未知のトランスのインピーダンスの推定方法 で見当をつけたトランスを実際に測定してみます。

トランスは二次側両端に抵抗をシャントすれば、一次側にインピーダンスが現われます。これはブリッジで測定し、仮にZpとします。

次に出力抵抗の既知の発振器を用意し、その出力に直列に抵抗を入れ、出力抵抗と抵抗の和がZpになるようにします。

こうしておいて トランスの一次と二次の電圧を測定します。

 ミリバルで測定すれば周波数特性が分かり、ヴェクトルインピーダンスメーターなら周波数によるインピーダンス及び位相特性が分かります。オシロ或いはスペアナなら周波数特性と位相特性が分かります。ゲインフェーズメーターHP3575Aでも測定できます。これはゲインがdBで、位相特性が0.1Deg単位で表示される測定器です。

 

 仮に一次対二次の巻き数比(電圧比)が30:1のトランスが有るとし、二次に8Ωをシャントすれば、一次側は計算の上では7200Ωに近いインピーダンスに
なります。然しながら実測すると計算で得られる値と著しく異なる場合があります。これはDCRとインピーダンスの比を大きく開かない場合に起こります。

 電力の伝送ではトランスでの電力損失が過大では困るので、DCRとインピーダンスの比を大きく開くのですが、単に電圧を伝えるだけの場合はDCRの二倍とか三倍程度にしか開かない場合が有ります。そのような場合は計算で得られる値と実測とは大きく違います。例えば計算では5KΩくらいでも実測では10Kを越えるというようなことが起こります。

  


未知のトランスの測定方法/簡便法


 以上がまぁまともな測定法です。でも考えてみると、実装されたトランスをドライブする電源(通常は真空管)はZpよりずっと小さいインピーダンスであることが多いです。近頃大流行した超三結に至ってはZpより著しく低いインピーダンスでした。こういう現状を見れば一次側に整合抵抗を入れないで測定するのがむしろ、現実に近いと考え、整合抵抗を省略し、発振器出力を直接一次側に入れます。こうすると測定が多少ラクになります。

 Zpよりも小さい出力インピーダンスでトランスを駆動すると、正規の測定法で測るより低域が伸長します。逆に高域は減衰します。これは初心者にハードルの高い高域補正が必要なくなるか、僅かで済むので“良いことずくめ”と言ったほうが良いでしょう。
 




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