オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

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測定器解説:オシロ

2014年09月11日 | 測定器の種類別解説



HP1200B型オシロ 500Khz/100マイクロV 超高感度差動


オッシロスコープ


 オッシロスコープは基本的に米国のテクトロニクス社(以下テクトロという)がリードして来ました。オシロの歴史はテクトロの歴史と豪語していましたが、あながち間違いでもありません。ヨーロッパではフィリップス等独特の考え方でテクトロと感覚が違うオシロを製造したところも有りましたが、国産のオシロはテクトロのコピーと言ってよく、それはどのメーカーも同じです。当然にコピーした物同士は似てしまうので、国産メーカーのオシロは帯域が同じならどれもほぼ同じ内容です。

 だったらテクトロが一番良いのかと言えば、だいたいそうだと言えます。初心者がテクトロを買うのが恐れ多いというのなら、国産ならどこでも良いといえるでしょう。ただし、マニュアルを入手したいのなら、岩通とキクスイが入手しやすく、この点他社は困難です。然し、マニュアルを入手する必要は実際には無く、世にある解説書を読むほうがずっと良いです。

 初心者には30Mhzの二現象くらいまでが手を伸ばす範囲となるでしょうが、痩せても涸れても一応二現象となると、性能チェックや手直しが必要な場合(そのような場合が多い)は発振器やミリバルとは比較にならないくらい手数が掛かり、その手間が落札価格に反映されることはあまり無いので、ノークレームノーリターンとして出品されることがどうしても多くなります。不具合が有る場合、発振器やミリバルほど簡単には直らない場合が多いので、動作品としてあるのを買うほうが良いでしょう。出品側として見ると手数が掛かる割りに高くならない機器です。


ディジタルオシロについて


 私が初めて買ったのはHPの54112D型で、100Mhz/400Mサンプリング/4CH/6ビット/64KWORDでした。その後より新しい機種を試しましたが、現在はすべて処分してしまい、手持ちはありません。

 アナログと比べるとディタルオシロは、輝線が太く、汚いです。然し、その多機能ぶりは圧倒的です。デジタルでは振幅を適当なサイズに表示する操作や、波形の水平サイズを適当に表示する操作は要りません。つまりXもYも自動なのです。テクトロの2445や2465などアナログオシロのディジタルリードアウトをも遥かに超えるもので、最初に使ったときはもはやアナログの時代ではないと思いました。

 ところが、私は生憎と毎日オシロを使う者ではなく、大多数の諸兄と同様、休日にしかオシロを扱いません。そうなるとディジタルオシロの多機能は却って負担になったのです。つまりこうです。こう使うのかフムフムそうかそうか、と何十分か掛けて一応理解するのですが、一週間か十日すると、忘れてしまってる部分があり、その都度使いこなしに時間を喰う、こうだったよなぁ、というようなことが有ります。それ以上間が空くともっと時間が掛かるというようなことがあり、これは仕事として毎日使うような人のものと思いました。今では、テクトロの2445や2465程度で十分と思います。

大古オシロの修理

 
 強制同期、管球式の松下のVP311A/B/C、VP517A、トリオのCO50、CO-3K、キクスイの555、556、557、OP-31C等を見掛けます。そのまま使えるモノはまず無いと言ってよいです。掃引の時間を決めるCは必ず全て交換、その他のCも交換したほうがよいです。
 
 トリオのCO50型2インチオシロはたとえ完動にしたとしてもハシゴ型と呼ばれる波形の歪が残ります。回路がシングルエンドであってプッシュプルではないためです。2インチの場合プッシュプルになってることは稀です。

 修理はハッキリ言って馬鹿馬鹿しいです。管球式は修理のコストが高くなりやすく、たとえ治ったとしても感度が悪く帯域もせまいです。レトロの感覚を楽しみたいというのでも無ければやめたほうが良いでしょう。部品取りの場合は古いもののほうがパーツが取れますが、限られた管種と電流容量の不明なトランス、それに鉄製のため転用の困難なシャーシと楽しみが少ないです。

シンクロスコープと岩通


 岩通が強制同期の古い型式のものとの違いを殊更強調するため、シンクロスコープなる言葉を流行らせ、一時期はオシロと言うとシンクロではないのですかと聞かれたり、トリガー掃引方式と態々断り書きが必要になったのは残念なことでした。他のメーカーも追随してしまったのですが、テクトロは一貫してオッシロスコープと呼称していました。中高年の技術者で今だにシンクロと呼ぶ人もいますが、次第にオシロに収斂しているようです。
 悪口を言いましたが、国産オシロメーカーではやはりトップメーカーです。個人的な感覚ですが古くなった機種同士では岩通のものが不良が少ないように感じます。このへんがキカイはカタログを見ても分からないと思う所以です。特にアジャストする場合、岩通が一番分りやすいです。マニュアルも出して呉れます。(最低3000円)。










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1 コメント

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たいへん有意義 (みかん湖)
2014-06-05 21:16:03
ブログの内容は役に立ちます。ありがとうございます。
オシロ関係の続編が待ち遠しいです。

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