いごっそうの棲家

以前のblog『オトツマ日記』を改名。オットだけのボチボチ更新雑記。

だいこん 山本一力

2007-07-19 13:53:56 | 小説
一力得意の人情物語。
めずらしく舞台は深川ではなく、浅草並木町と材木町。
いずれにしても下町ではあるが・・・

一膳飯屋だいこんを、若干17歳の娘つばきとその家族が 
切り盛りし、繁盛させていく話だ。
いわゆる細腕繁盛記みたいなノリ。

小さいころから飯炊きが上手く、気働きも優れ、何より商才が
ずば抜けている主人公つばきが、浅草の町民に心から愛され、慕われ
ひとまわりもふたまわりも大きくなって行くその姿は、江戸屋女将の
秀弥を思い浮かべる。(梅咲きぬ~山本一力)
あちらは老舗料亭でこちらは一膳飯屋だが通ずる物があるような・・・
話としては梅咲きぬの方が好きだけど。

そして終わり方が、なんともだいこん2を予想させるような終わり方。
書く気まんまんか?
だって深川に移ってからどうなるのか、つばきの恋の行方は?
気になるじゃないですか・・・

しかしまた不満ですが、せっかく二階屋を普請して、材木町で
順調に商いを伸ばしていた矢先にあんな言い掛かりをきっかけに
店を譲り渡し、深川で新しい店を始めるなんてあまりにも浅はか
な決断ではないだろうか?
そのエピソードで、つばきの決断力と行動力を示しているのだろうか。
いずれにしてもあの序章なのだから、個人的にはだいこん2を意識せずに
最後まで書ききって欲しかった。
それとも読者の創造力にお任せって事なのだろうか・・・
それに、あのおそめ率いるお婆さまたちの弁当屋のくだりは余分では
ないか?
商いに手を広げすぎの感が否めない。

私は一力氏がとっても好きなのに、どうしてこんなに読後に不平不満
ばかり言っているのだろう・・・