二日目
朝窓を開けると空は雲に覆われ、路面は湿っています。 天気予報は台風一過でしばらく晴天という話でしたが、秋の空はなんとかとやら、もう雨がやってきたようです。 これも修行の一つ、雨の中なら暑くないから登りやすいかもしれません。
橋を渡るとそこに鳥居があり登り口です。 10台くらいの車が止まっています。 昨日
敬慎院に登った人たちの車です。
約4時間から5時間の登りです。 途中に神力坊、肝心坊、中適坊、晴雲坊と1時間間隔で休憩所を兼ねた坊が配置されており、無理をしなければ安全に参詣できる登山道(参詣道)です。 今日は平日という事もあり、最初の神力坊は開いていましたが、それ以降の坊は人が居る気配はありますが、お店を開いていませんでした。 8時半に登りだして、直ぐに敬慎院から下ってきた人がいます。 結構速いです。 聞くと昨日の敬慎院には20人ぐらい泊りがあったそうです。 肝心坊あたりで前を登っている人を見つけましたが何か変。 聞いてみると修理で上がっている業者の方でした。 山登り経験無し、お昼は登ればなんとかなるだろうと何も無し、飴等もなし、水はペットボトルを飲みきったのでさっきの肝心坊のトイレに水が流れていたのでそれを入れてきた。 もう肝心坊から点在するベンチがあるたびに休憩しています。 あとどのくらいでしょうかね?と聞かれました。
これはやばい、やばい。 今日は登っている人も少ないし、敬慎院まで連れていこう。
もう足元がおぼつかない感じでした。 話をしたり、飴を食べながら気を紛らわせながら、ペースを乱さないようでもゆっくりと歩みを進めます。 11時ごろには晴雲坊を過ぎたあたりで、体力が限界にきたようでますます足元がおぼつかなくなってきました。 幸い後から登ってきた信者が追い越していくので、敬慎院に業者の人は面倒みて連れていきますという伝言をお願いして、ここは無理して敬慎院まで強行するより、暖かい昼食にしましょう。 幸い今回は七面山山頂でコーヒーを楽しもうとバーナーを持参しています。 最初に暖かいコーヒー、次にカップめん、そしてインスタント味噌汁にご飯を入れたおじやと温まる食事を1時間かけてゆっくり食べてもらうと、無口に鳴りがちだった口がまたすこし元気を取り戻してきました。 これなら大丈夫でしょう。
ここから1時間やっと敬慎院入り口に到着。 鐘を鳴らして本来はすこし登って随身門から敬慎院に入るのが正しいルートなのでしょうが、鐘楼から左回りの平坦な道を歩いて敬慎院到着。 お坊さんたちが皆さん到着を待ちかねていたようです。 業者の方は暖かな大やかんのかかった暖炉に直ぐ連れて行かれて休憩。 彼にはこれから3時間あまりの修理作業があります。 ご苦労様
私達は食料を食べきったし、雨も降っているので七面山山頂に行くのは今回はやめにして、奥の院まで片道約20分の散策に行くことにしました。
軽自動車(ここは山の上なのできっとヘリであげたのでしょう。 ナンバーのない軽自動車が敬慎院と奥の院を走っています) が走れるいい道を少し下ると左手に二の池 奥に社とお堂があります。 水溜りを避けてそこまでお参り。

それから程なく奥の院。 奥の院にはちゃんとしたお堂と宿泊できる施設があります。 お坊さんからどうぞ本堂に上がって下さいと薦められてお参り。 日蓮宗だから般若心経ではないし、観音経でもないかな、結局四弘誓願文を唱えることにしました。
その後奥の院前にある大きな岩 影嚮石(ようごうせき)の周りを一回りしました。 次回は敬慎院に泊まるのではなくこの奥の院に泊まるのもいいかもしれない。
雨に濡れた道を再び敬慎院まで戻り、お風呂、食事、夕方のお勤めです。
食事後に業者の方がお坊さんに連れられて部屋までご挨拶に来られ、明日の下りも同行したいとの事、山慣れていないみたいですので快諾。
以前来た時は夕方のお勤めだけだったと記憶していたのですが、夕方のお勤め前にご開帳があり七面大明神のお姿を拝見する事ができました。 夕方のお勤めは私達二人と千葉から来た70代ぐらいのお寺の上人夫妻(日蓮宗では住職のことを上人というみたい)だけでした。
終わった後に敬慎院に寺宝を見せて頂きました。 多分上人夫妻に見せるのが主で私達はいい機会に便乗できたようです。 本堂横にある寺宝のなかで驚いたのは、七面大明神にはこのような縁起が伝わっています。「昔日蓮聖人が身延山で説法をしている時に若い女性に身を変えて説法を聞いていたそうです。 日蓮聖人が一滴の水を与えると「私は七面山の龍で身延山の鬼門を守っている」と話して七面山に飛び去っていったそうです。」 龍の爪があるんです。 本物、偽物、そういう話ではなく、寺宝です。いい体験をしました。