
『電車で読書男』の私は「花まんま」を読み終え
本を閉じ
ぼんやり遠くを見ていた。
電車が止まり、ドアが開いた瞬間
おおきなスズメバチが、一頭、ブンブンいいながら飛んできた。
そして私のうしろの日除けカーテンに止まった。
私は手に持っていた「花まんま」で思い切り、蜂を叩く。
ヘッドホンをしていた隣の女性は、びっくりして飛び上がる。
蜂は、ドアから逃げたが、
その女性には大変、悪いことをしてしまった・・・。
そして「花まんま」に出てくる不思議な登場人物たちにも・・。
さて短編集といえば「黄色い目の魚」(佐藤多佳子著)を思い出す。
連作短編集の体裁で一話よりも5話あたりが
俄然面白くなったりする。
「14 フォーティーン」(石田衣良著)もそんな感じだった。
直木賞受賞作品「花まんま」(朱川 湊人著)は、単独の短編集だ。
ただ 違うのは同じような味付けをした短編を揃えたことだろう。
6話からなっている。
子供の目を通して、子供だからこそ分かる摩訶不思議な世界を描いていく。
「トカビの夜」「妖精生物」「摩訶不思議」「花まんま」
「送りん婆(ばぁ)」「凍蝶(いてちょう)」、
NHK週刊ブックレビューのゲストで朱川湊人(みなと)さんがみえて
面白い話をされていた。
(「摩訶不思議」にでてくる摩訶不思議とは、
霊柩車が動かなくなったことだけではない。
一人の男のことで、
いがみ合っていた女たちが、
ある日、仲良くソウメンを食べていたことだ。)
そういえば男の子よりも
女の子が語り手となる「妖精生物」、「送りん婆(ばぁ)」が
一番怖かった。
そしてなんとなく心に残った。
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