酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『ヒトリマケ』(2008・日)

2009年06月03日 16時27分39秒 | 劇場鑑賞作品
昨日みてきました。

「あなたの借金チャラにします~♪ 先着5名様!」
清水ミチ子が演歌調で歌いながら登場するテレビCMをみて
借金をかかえた6人の男女がマンションの一室に集まります。

聞けばこの6人のうち1人に借金を全部かぶせてしまうことでチャラにするという
“ヒトリマケ”ゲーム。
それぞれの事情による6人の借金の総額は5,003万円。
しかも犠牲者は6人の投票で決まるという。
唖然とする一同だが、すでに熾烈?な駆け引きが繰り広げられようとしていた…。

監督は四季涼という人。
テレビ出身?
いかにもお笑い系の深夜番組にでてきそうな企画です。
それゆえ
“63人におよぶオールキャストとスタッフすべてがノーギャラで参加”
(たぶん成功報酬というかたちで収益から支払われるのでしょうが)
という宣伝文句?が効いてます。

だって“ノーギャラ”ってきいたらいちいち余計な“つっこみ”できませんもの!

さて、冗談はともかく本作品
適当に面白半分でつくっているのかと思いきやさにあらず

主演の街田しおんをフィーチャーした演出も面白かったですし
意外にもつくり手の“真面目さ”がつたわってくるそんな一本でした。

☆☆☆

『こねこ』(1996・ロシア)

2009年06月02日 11時38分41秒 | TV鑑賞作品
日曜の夜の一家団欒、BS11の吹き替え放送でみました。

愛らしい猫たちの大活躍ぶりに
今年3歳になる愛息ショー君の目は釘づけです。

クリスマスも近いモスクワが舞台。
フルート奏者の父、母、祖母の一家5人で暮らす姉のマーニャと弟のサーニャ。
ある日祖母とペット市場で子猫を譲ってもらい持ち帰ります。
“チグラーシャ”(トラちゃん)と名づけられいたこの子猫。
いたずらは日々エスカレートして家族はてんてこ舞い。
そんなある日マーニャとサーニャが大切にしているチグラーシャは突然家からいなくなってしまいます。
極寒のモスクワをさまよい
やがてチグラーシャがたどり着いたところは…。

脚本、監督はイワン・ポポフ。
彼のことはよく知りませんが
マーニャとサーニャを演じた子役はポポフ監督の実の子供たち
さらに両親、夫人までもがスタッフとして参加していたということですから
家庭的な雰囲気は否応なくつたわってこようというものです。
(多分に予算上の制約からなのでしょうが…。)

そして主役はかわいくも賢い猫ちゃん達だけではありません。

たくさんの猫に囲まれ“猫使い”になることを夢みながら一人暮らす男
地上げ屋にアパートを出て行くように脅されても
就いていた雑役の仕事を追われながらも
猫たちを可愛がり淡々と生きていくしかない男、フェージン。

演じるのは本業の俳優さんではない
この映画に出ている実際の猫たちの調教師でもある
(しかもあのボリショイサーカスの)
アンドレイ・クズネツォフという人。

彼の独特な風貌と朴訥とした演技?のおかげで
この作品はやがて不思議な魅力を醸し出していくのです。

ファミリー向けと侮るなかれ!
しっかりと“人間”を描き出しているところにいたく感心しました。

☆☆☆☆

『不知火検校』(1960・日)

2009年06月01日 16時35分11秒 | TV鑑賞作品
BS2で深夜放送していたのを録画して昨日みました。

当時“売れない”俳優だった勝新太郎がみずから新境地を開き
大ヒットシリーズ『座頭市』が世にでる転換点となった傑作時代劇です。
監督はプログラムピクチャーの巨匠、森一生。

“検校(けんぎょう)”とは盲官の最高位。
中世から江戸時代までつづいた男性盲人の自治的な互助組織である“当道座”には
最高位の検校から順に、別当、勾人、座頭などの役職があったそうです。
江戸時代まで下ると高い官位を得るための金銭の授受が公然のこととされたばかりか
官位の早期取得に必要な金銀収入を容易にするため金貸しが公認されていたことから
多額の蓄財をなし吉原で豪遊するものもあらわれたということです。
(以上、Wikipediaを参考または引用して記述)

そんな時代背景のなか
杉の市と名のる若い鍼灸師が悪事を重ね検校までのぼりつめるおはなしです。

生来の狡賢さから周りを手玉にとり金銭を掠め取るばかりか女性をも弄ぶ杉の市
やがて子悪党を出し抜いて自らの師匠さえも手にかけます…。

人をあやめてもなお平然とする杉の市のあきれるばかりの極悪非道ぶりは
一方で不思議な魅力に満ちたユーモアを放ちながら決してみるものの心を離しません。

嬉々としてこのあたり役を演じきった勝新太郎の力量ゆえでしょう。

胸のすくかっこいい“市”もいいですが
人間くささが横溢して断然好きな映画です…。

☆☆☆☆

『皇帝の鴬』(1948・チェコ)

2009年06月01日 11時13分43秒 | TV鑑賞作品
ひきつづき人形アニメーションの巨匠、イジィ・トルンカの作品です。

先週書きました『バヤヤ』に続いてBS2で放送していたのを
録画して子供たちとこの週末みました。

もともとの邦題は『支那の皇帝の鴬』
“支那”が蔑称と解釈されるからでしょうか?いつのまにか省かれてしまったようです。
アンデルセン童話「小夜啼鳥」が下敷きのおはなしで
題名のとおり中国のかわいらしい皇帝が登場します。

冒頭と終わりに実写で登場する病弱で家に篭りがちな少年がみる夢という設定
このあたりの演出はともかくも
想像力をかきたてるトルンカの人形アニメはこの作品でも実に秀逸です。

独特なかたちでデフォルメされた人形たちの愛らしいキャラクターは
この寓話にぴったりですし
皮肉に満ちた演出とあいまって生き生きとふきこまれたその命に驚嘆します。

まさにトルンカ・マジック!
おとなのためのきわめて贅沢な“おとぎ噺”なのです。

☆☆☆☆