酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『まぼろしの市街戦』(1966・仏)

2009年06月29日 14時46分52秒 | TV鑑賞作品
しばしば“カルト”映画として引き合いにだされることが多いことから
以前から気になっていたフリップ・ド・ブロカ作品。

作家の秋元康氏によればキューブリックの“2001年”とこの作品をみていることが当時の仲間内でのステータスだったそうです。
ずいぶんとませたガキ(失礼!)です。

BS2の放送を録画して週末みました。

第一次対戦末期の北フランスのとある田舎が舞台。
敗走中のドイツ軍は嫌がらせと称して時限爆弾を村の中心にしかけます。
その知らせをうけたイギリス軍。
仏語が話せるという理由だけで時限装置解除の任を伝書鳩通信兵のチャールズ(アラン・ベイツ)に命じます。
一人村にやってきたとたんドイツ軍に追われた彼が逃げ込んだ先は精神病施設。

時限爆弾のうわさを聞いた住民はすでに全員避難していますが
施設の住人とサーカスの動物たちだけがとり残されていたのです。
好き勝手な職業に姿をかえ着飾り、町をねり歩き、お祭り騒ぎする彼ら。
まだ幼さを感じる面影のジュヌビエーヴ・ビジョルドも出演しています。

やがて彼らから王に祀り上げられるチャールズ。
チャールズ自身もそんな彼らにほだされ溶け込んでいきますが任務を放棄するわけにはいきません。

戦争のおろかさを描いた反戦喜劇?
純粋に退廃的、厭世的な気分に浸るもよし
見るヒトによってとらえ方はさまざまでしょう。

一種のファンタジーなのでしょうが
お祭りのあとの言いようのないさみしさにも通じる後味がのこります。

みるほうがその感受性をためされるような不思議な映画でした。

☆☆☆☆