はじめに
2年前にマメクワガタの採集に成功し
これで県下に分布するクワガタムシ16種のうち
15種の居場所を突き止めました。
残すはあと1種、「ルリクワガタ」のみとなりました。
毎春、コルリクワガタ採集時に
ルリクワガタらしき個体が混ざっていないか注意して見るのですが
それらしき個体は一度も見たことがありません。
また、文献等にあるルリクワガタの入っていそうな朽ち木も
注意して見てきたつもりですが収穫は何もないままです。
県下でのルリクワガタの採集情報等をネットで探すも
ヒットするのは「コルリクワガタ」のことばかりで
ようやく見つけたルリクワガタの記録は
著名な方による漠然としたものでした。
・・・本当にルリクワガタはいるのだろうか?
↓ *コルリクワガタ♂(兵庫県北部A山個体群)
↓ *コルリクワガタ♂(兵庫県北部B山個体群)
この先、運よくそれを発見しても
ルリクワガタ自体をまともに見たことがないため
正しい同定ができる自信はありません。
まずは「ルリクワガタ」見ておかなければ!
そんな思いから今年の2月に
茨城県産のルリクワガタ2ペアを入手しました。
ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus
分布:本州・四国・九州
体長:♂9.0〜14.3mm ♀8.0~12.3mm
成虫の生態:注目されることが少なく
今でもその生態はほとんど解明されていない。
↓ 茨城県産ルリクワガタ(材割採集品)
↓ ↑ ルリクワガタ♂(茨城県産)
コルリとの区別は簡単か?
結論からするとメスはわかりやすく、すぐに区別できました。
↓ ルリクワガタ ♀
↓左:2頭ルリクワガタ♀ 右:2頭:*コルリクワガタ♀
↓小さい3頭が*コルリクワガタ ずんぐりして見える
↓ 腹面黒系がルリクワガタ、褐色が*コルリクワガタ
↓ 深い藍色〜黒系のルリクワガタの♀
一方、オスはというと大あごの形状が違うとか
前胸背板形状が違うとかありますが
見慣れない私には思いのほかよく似て見えました。
↓ ルリクワガタ ♂
↓ 左:ルリクワガタ 右:*コルリクワガタ
↑ ルリクワガタのほうがお尻にかけてすらりとしている(左)
↓ 前胸背板下方に違いがあるが、個体差もあるらしい
↓ ↑ *コルリクワガタのほうが上翅点刻は粗目に見える(右)
↓ ルリクワガタ ♂ 大あごの発達はコルリより良い感じ
↓ 左:ルリクワガタ 右:*コルリクワガタ 腹面もよく似ている
もし、野外活動中のルリクワガタを採集しても
オスについては見間違えるかもしれません。
産卵セット
今回入手した2ペアは軒下で管理し
活動開始するのをうかがっていたところ
3月26日には1♂がケース内を徘徊し始めたため
飼育小屋に移動し、光の当たる窓際に置きました。
↓ 窓辺で光を感じてもらう
ルリクワガタの産卵セットは初めてなので
なんとなくのイメージで組んでみました。
産卵用の朽ち木は市販のコナラ材を使用しましたが
やや古いく、腐食が進んだものを加水して
立ち枯れ風にセットしてみました。
そして、限られ時間の中でルリクワガタの生態観察をはじめました。
↓ 2020.3.3.26 1♂が動き始めている
↓ 飛翔直前 ♂
↓ 3月30日
↕ 交尾確認
* 近年の研究では当該地域に分布するコルリクワガタを
「ニシコルリクワガタ」とする考えがありますが
ここではコルリクワガタ〇✖山個体群としています。
注)比較に使用したコルリクワガタは
野外個体から得られた飼育第一代目です。
参考文献:
藤田宏,2010,世界のクワガタムシ大図鑑6,むし社.
岡島秀二・荒谷邦雄 監修,2012.
日本産コガネムシ上科標準図鑑.
株式会社学研教育出版.
こんばんは、コメントありがとうございました。
兵庫県の北部でしたら結構低い山でもブナがあればコルリはいるみたいです。
例えば温泉街の海の見えるような山でもいるようです。
コロナの影響で今年はなかなか思うように行動ができませんが、今の時期なら既にコルリが発生している場所もあると思います。
5月初めには某有名山では確実にコルリを見ることができると思いますので、お体に気お付けてよい成果を上げてください。
紫外線の当たる場所で、ブナのひこばえを探すと効率が上がります。
オスが喧嘩をしていたら、メスが「ひこばえ」に入り込んでいますので、そこで待っていたら次々と飛来してきます。
兵庫北部に住んでいる者です。
北部のルリクワガタ・コルリクワガタについて、ここまで研究されている方はいないと思います。
とても参考になります。
低地で採れるものはほぼコルリのようですね。
過去の記録では、北部と中部の間でルリクワガタの記録があるようですが・・・交通の便を考えると、採集者の皆さんは某大きな山に行かれるのでしょうか。
タラの芽採りにあの山に行かれる方がまだ芽吹いていないと仰っていたので、まだ山の上は寒いのかもしれません。
最近、コルリの県北限産地がすぐ近くの山だと知りまして、初めてコルリを探してみようと思います。
子供もコロナで、ずっと家にいますので、気分転換になれば良いのですが。
長文失礼致しました。
兵庫県は、コロナ感染者が増えている状態で、誰もが少しおじけづいています。
幸い身近にはまだ感染者は出ていませんが、油断せず手洗い消毒など実施しています。
あらさんも十分お気お付けください。
ルリのほうは、
この感じで産んでくれたらいいのですが、日によって出てきたり、隠れたままだったりして、完全な活動はしていないようです。
コルリは、まだ出てこないので、もしかしたらルリのほうが野外でも活動開始が早いのかな? などと思ったりします。
今回の観察で、まだよくわかっていないルリの生態を少しでも見れたらいいのですが・・・
とても興味深い内容でした。オスの見分けは非常に難しいですね。
立ち枯れのような産卵セットはとてもいい案ですね。
生体の行動を観察する事がほとんどない虫だと思われますのでとてもおもしろいです。こよみさんの観察眼には感服致します。
コロナウイルスが広がってきておりますが、お体には十分お気をつけてお越しください。