（一社）ハートマッスルトレーニングジム代表
桑原朱美です。
今日のテーマは「妄想族の思考パターン」です。
桑原が免許書を取ったのは19歳の時。
教習所では、交通事故防止について学びますよね。
その時に、教えてもらった中で印象的だったのが
「だろう運転」という言葉。
交通事故の解説でもニュースで時折耳にします。
だろう運転とは、「前車は止まらないだろう」という
根拠のない一方的な思い込みのまま運転していたら
想定外に前を走る車が停止し、追突してしまうような運転のことです。
自分の都合の良いように
「こうなるだろう」「こうなるにちがいない」と無意識に考えている。
ところが、実際には相手の想定外の動きによって事故を起こしてしまう。
これ、コミュニケーションでも起きますよね。
『私が、こう言ったらきっと相手は、こういうふうに反応してくれるだろう（してくれるはず）』
って思っていたら、自分の想定外の動き（言動、反応）だった。
相手の反応に対し、勝手な「期待」があると、
想外の相手の言動に対応できません。
期待がなければ、「あ、そう来たか」と思って、
そこでおきるコミュニケーションにちゃんと対応できます。
自分の感情や言葉が自分のものであるように
相手の感情や言葉は相手のものだから、それをちゃんとやり取りすればよいのです。
しかし、自分の勝手な期待が強ければ強いほど、次のように感じてしまいます。
「そんな風に言ってくるということは、私のこと嫌いなんだ」と落ち込んだり
「そんな反応するなんて、信じられない！」と怒りを覚えたり。
妄想族状態になりやすい人の特徴は、
自分の言動に対しての相手の反応（こういう言葉でこんな表情でこうしてほしい）を
自分で勝手に想定し、期待しています。
このような思考パターンを持つ人は、コミュニケーションのストライクゾーンがあまりに狭いので、多くの場合、相手の言動が自分が願うコミュニケーションのストライクゾーンには入らない。だから、相手の反応に「え！」となる。
すると、出てきますよね。妖怪「クレナイもん」
わかってクレナイ！ やってクレナイ！ 優しくしてクレナイ！
相手のせいにしてしまうという思考が始まるのです。
被害者意識の妄想が始まるのです。
ちょっと苦しいですよね。
相手のストライクゾーンが広ければ、投げる人は楽ですよね。
ちょっと外しても受け止めてくれる。
でも、相手のストライクゾーンがものすごく狭くて
そこに投げないと相手が落ち込んだり、怒ったり、すねたりするとしたら
だんだん、周りはそんな相手とキャッチボール（コミュニケーション）を取ろうと思わなくなりますよね
さて、交通事故の話に戻しましょう
交通安全上の事故防止のためには「かもしれない運転をしましょう」
ということが言われます。
「人が飛び出してしまうかもしれない」と、危険予知をして
緊張感をもって運転してねってことです。
ただ、コミュニケーションに於いては「危険予知」という考え方をしていては
のびのびとしたコミュニケーションができません
「かもしれない」も行き過ぎてしまったり、必要以上に警戒してマイナスに考えてしまうと、それはそれで苦しいですよね。
『私がこういったら、こう思われるかもしれない』
『ミスしたら、先生に叱られるかもしれない』
これも、まだ起きていない未来に対するマイナス妄想。
どうせなら、相手の反応なんてわからないのだから
変な期待を持つのではなく、相手とかかわることで
「もっと分かり合えるようになれるかもしれない」
「お互いにハッピーになれるかも」って考えた方がいいですよね。
そして、それ以上に大切なのは、
誰かとかかわる時、相手がどんな反応をしても「受け容れてかかわる」と決めること！
自分の正解（こうあるべき）が強かったり
自分のことを受け容れてほしいが強くなりすぎたり
何かの学びが知識偏重になり、それがジャッジの基準になっていると
相手が見えなくなり、コミュニケーションの妨げとなります。
これは、支援者と相談者、先生と生徒、親と子どもの間でも、同じです。
大切なのは、先に自分から受け容れてかかわること！
受け容れるとは、何でも許すということではありません。
好きになることでもありません。
ああ、今、そう考えたんだ。
そう思ったんだとただ受け止めること。
そこにジャッジは存在しません。
支援の場面や教育の場も含めて、人との関係に於いて湧き上がってくる感情は
自分の思考パターンがつくりだすもの。それは相手も同じ。
人間関係においては「だろう」であれ、「かもしれない」であれ
相手の反応が想定外であった時、自分が、どうするか。
自分の知識や立場や理論や手法を超えて、相手を理解しようとできるかどうか
コミュニケーションで他人軸と他人軸がぶつかると、泥沼化します。
どんな状況でも、まずは、自分が主体的であること
自分から受け容れてかかわること
『受け入れる』ではなく『受け容れる』です。
それは、テクニックの問題ではなく、
自分自身の度量、心の器の問題です。
それでは、今日も素敵な1日を！
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