オレオレ詐欺
ある朝、友人のお母様に掛かってきた一本の電話。
孫らしき青年の声で、仕事上の大切な書類を紛失して、上司にこっ酷く叱られ、このままだと会社をクビになりそう……長々と云々
携帯電話も失くして、公衆電話からだと言う。
結局50万円ほど都合を付けてくれという。
おばあちゃん、これは大変!と
「何某なのかい?」名前を呼んでしまった。
「ばあちゃん、今まで誰と話してると思ってたの?僕だよ!何某だよ!」
どうしてお母さんに電話しないのかと尋ねると
「もう仕事に行ってるもの」
おばあちゃん、すっかり信じてしまった。
「またかけるから」詐欺師は電話を一度切った。
おばあちゃんは直ぐに私の友人に、大変な事になったと電話をした。
これは良かった。
日頃からそうするように約束してあったとのこと。
そんな電話を息子がするわけがないという確信が友人にはある。
携帯電話なくして、おばあちゃんの電話番号がわかるわけもない。
直ぐに息子のスマホに電話をしたら彼は寝ぼけ眼、寝ぼけ耳で出た。
やっぱりね。
折り返しおばあちゃんに息子には何事も起きていないと連絡するが、おばあちゃんは信じない。
あの声は孫だったと譲らない。
じゃあ息子に電話させるからね、よく声を聴いてね!
「おばあちゃん、僕だよ~」
「あんた本物かい?偽物だろ?」
あじゃ~(^^;;
翌日二回目の電話が詐欺師から掛かってきた。
「おばあちゃん!何某だよ!
先輩がお金を貸してくれたから、今回は何とかなりそうなんだ、大丈夫だから、心配かけてごめんね」
一度安心させておいて、三回目の電話がかかってくるのだろう。
友人はお母様の電話にオレオレ詐欺撃退装置をつけて待ち受けている。
お元気で年齢よりずっと若いシャキシャキのお母様が、電話を介すると、この悪人の小芝居を信じてしまうというお話。
気をつけよう。
人を騙してお金をせしめる為に知恵を絞り小芝居をする青年。
そんな風に落ちぶれるには、事情があったかも知れないけれど、我が身に刻まれた悪行の烙印にいつかきっともっと辛くなると思うよ。