夢を見た。
13回忌だというのに、母は亡くなった時のままきれいな顔をして眠っている。
緋色の着物を着ていた。
来年は黒留袖にしてあげるね
と言いながら、私は少し日に焼けたみたいに色が薄く筋になっている袖の重なっている部分を隠した。
そして
お母ちゃん、みんな大変なことになってるの。
お願い、守ってね
と足元に泣き崩れる。
火葬にしなくて良かったね、こうして会える、顔が見られるもんと
父にそう言ってまた泣き崩れる。
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初めてのクルージングで旅慣れされている素敵な御夫妻と知り合った。
その方が、20年も前に今でいうブログを書き綴っておられた。
20年前というと、私は携帯電話も持っていなかったし、パソコンも第一号を使っていた頃じゃないかなぁ……。
その方はお医者様で、一般人には凡そご縁のない沢山のエピソードを読みやすい短編集にまとめて出版されていた。
先日その貴重な御本を私に送って下さった。
お名前はIさんとしておこう。
Iさんの穏やかな語り口調を思い起こさせる文章と一編の程よい長さ、エピソードの面白さでぐいぐいと読んでいける。
お医者様なので、スプラッタ🩸🩸🩸🩸🩸💦
なシーンもあり、そういう箇所では怯みながらも興味深くてつい読み進める。
その中に、解剖に関するところがあり、献体された御遺体は半年ほど大切に……お医者様の卵は研究されるとあった。
そのお話を読んだ時、あまり印象に残さぬよう心は横目でサラッとやり過ごしたつもりだったのだけれど強烈なイメージが刻まれたのかもしれない。
それで、眠るような母の姿が夢に出てきたのではないかなぁと思う。
母にはもう少し長く生きていて欲しかったけれど、3.11も大洪水もコロナも経験しなくて済んで良かったねとも思う。
「冬のソナタ」にはまっていたが、今の情けない日韓関係に落胆することもないしね。
母の心配性は相当なものだったので、離れて暮らす私のことをどれほど心配して身を焦がしただろうと……
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次にIさんにお会いする機会があったら、御本を前に、インタビューしたいことが沢山ある。
I先生、このお話もっと詳しく教えてください‼️って。
一編一編が絶妙な長さ、〆方なのだ。
スプラッタ🩸ありパニック🤯あり、その筋の方も登場したりでハラハラするのに、清潔で紳士的にまとめられている。
それで尚更読者の好奇心を掻き立てる気がする。