88歳の父は学生時代を東京で過ごした。
と言っても、東京大空襲の後のことで、それは私の学生生活のような幸せなものではなかったようだ。
受験するにあたって広島か東京か、と考えて、東京を選んだそうだ。せっかく合格したのに入学式も無く学舎も焼けてしまい、半年程は籍を中学においたまま学徒動員となる。
何故東京?東京に行きたかっただけや。
広島を選んでいたら全く違う人生となり私など居なかったのだろうなぁ。
田舎で父が東京にいくことになった時はそれはもう大変な騒ぎだったようで、私は勝手に「車輪の下」をイメージして、あのような顛末にならなくて良かったと安堵したりしている。
毎年参加者が減っていく同窓会に今年もまた父は参加することができた。それで昨夜は上京してきた父と夕食を共にした。私の娘も同席してくれた。先日立山で良い時間を過ごしたばかりでまた出会えて贅沢な有難い気分だ。
半屋外のイタリアンレストランでブランケットを膝にかけ、ストーブで暖まりながらワインを飲みつつ色々出てくる思いで語り、この年齢になってから聴くから沁みる事がある、あの年齢だから語れる事がある。その様子を真面目に聴いて見ている私の娘がいる。
父は出かける直前に庭の柚子を摘んで持って来てくれた。重いのに(^^;;も一つお土産は「月影」という非常に浄土宗的な和菓子。
月影のいたらぬ里は無けれどもながむるひとの心にぞすむ。
無事同窓会を終え新幹線の窓から月蝕を見る事ができたとメールが届いた。
そうだ!今夜は月蝕だ!
家から見えたのでスマホで撮った月蝕
KAGAYAのTwitterより2枚お借りして。