脳刺激⇒脳内たんぱく質減退
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練習をさぼったり頭を使わなかったりすると腕や勘が鈍る____。スポーツなど
で経験するそんな現象の背後にある脳細胞の仕組みを、東京大学大学院の飯野正
光教授(薬理学)らが明らかにした。使わない神経回路の働きが弱まるものは、
経験的には知られていたが、分子レベルで解明されたのは初めて。認知症などの
治療薬開発に役立つ可能性もあるという。
飯野教授らは、体の運動と深くかかわる小脳の神経細胞をつなぐ接続部(シナ
プス)に注目。マウスの細胞実験で、シナプスの信号伝達を1日以上、止める操
作をした。練習をさぼって信号伝達がなくなるのと同じ効果があるという。
その後、神経回路の働きを調べた。シナプスの信号伝達が滞ると、細胞内にあ
るBDNFというたんぱく質の働きが鈍った。さらに信号伝達物質そのものが放
出されにくくなることも突き止めた。BDNFは、子どもの脳の発達などを促す
神経栄養因子の一つ。神経回路の性能維持にも重要な役割をすることが、今回の
実験でわかった。
自転車に乗ったり、泳いだりする能力は、いったん身につくと練習しなくても
急に失われることはない。だか、久しぶりに試すと思ったよりうまく行かず、
「ぎこちなさ」を感じることがある。今回の発見は、こうした現象に関係してい
るとみられる。
飯野教授は「神経回路の維持には、常に刺激を受けて信号が流れる状態に保つ
ことが重要だ。フィギュアスケートの荒川静香さんも週6日の練習を欠かさない
そうだが、勘を鈍らせないためには一流選手も例外ではない」と話している。
研究内容は、米科学アカデミー紀要(電子版)で発表された。
(2006.05.25 朝日夕刊)
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練習をさぼったり頭を使わなかったりすると腕や勘が鈍る____。スポーツなど
で経験するそんな現象の背後にある脳細胞の仕組みを、東京大学大学院の飯野正
光教授(薬理学)らが明らかにした。使わない神経回路の働きが弱まるものは、
経験的には知られていたが、分子レベルで解明されたのは初めて。認知症などの
治療薬開発に役立つ可能性もあるという。
飯野教授らは、体の運動と深くかかわる小脳の神経細胞をつなぐ接続部(シナ
プス)に注目。マウスの細胞実験で、シナプスの信号伝達を1日以上、止める操
作をした。練習をさぼって信号伝達がなくなるのと同じ効果があるという。
その後、神経回路の働きを調べた。シナプスの信号伝達が滞ると、細胞内にあ
るBDNFというたんぱく質の働きが鈍った。さらに信号伝達物質そのものが放
出されにくくなることも突き止めた。BDNFは、子どもの脳の発達などを促す
神経栄養因子の一つ。神経回路の性能維持にも重要な役割をすることが、今回の
実験でわかった。
自転車に乗ったり、泳いだりする能力は、いったん身につくと練習しなくても
急に失われることはない。だか、久しぶりに試すと思ったよりうまく行かず、
「ぎこちなさ」を感じることがある。今回の発見は、こうした現象に関係してい
るとみられる。
飯野教授は「神経回路の維持には、常に刺激を受けて信号が流れる状態に保つ
ことが重要だ。フィギュアスケートの荒川静香さんも週6日の練習を欠かさない
そうだが、勘を鈍らせないためには一流選手も例外ではない」と話している。
研究内容は、米科学アカデミー紀要(電子版)で発表された。
(2006.05.25 朝日夕刊)