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3.11原発事故の記憶「太陽の蓋」プロデューサー大塚馨さんのインタビュー記事より

2016年08月29日 | 脱原発
大ヒット映画「シン・ゴジラ」は私は見ていないけれど、映画を愛する方たちは、「太陽の蓋」とセットで見るのがいいと、言っている。

「シン・ゴジラ」と比べると世間の認知度は低いが、「太陽の蓋」はやや不謹慎な言い方になるが、エンターテイメントとしても、事実は小説より奇なり、で、最後まで目が離せないインパクトのある映画だった。おそらくは「シン・ゴジラ」に知名度こそ劣っても、内容は互角以上ではないだろうか。


「通販生活」のサイトに、プロデューサーの大塚馨さんのインタビューがでていました。メモのために。

「原発事故当時官邸で何が起こっていたか、多くの人に知ってほしい」
(通販生活今週の読み物)


以下、一部抜粋

(前略)

事故当時の閣僚を実名で登場させ、
真実味にこだわった。




──『太陽の蓋』には、当時の閣僚を実名で登場させています。

大塚 これは事実を基にした映画であると、見る人に強く印象付けたかったのです。実名と仮名とでは、真実味が全く違いますから、公人である閣僚は実名で登場させました。

── 一方で、電力会社を「東日(とうび)電力」としているのはなぜでしょうか。

大塚 私企業ですし、登場する人は私人だからです。『太陽の蓋』では、公人と私人とを分け、公人は実名で登場させていますが、私人は架空の人物という設定にしています。劇中に登場する電力会社の関係者や、新聞記者は全て架空の人物。ただし、架空の人物であっても、当時、実際にその立場でそこにいた人に綿密な取材を重ね、当事者の声を反映して人物を作り上げています。


──キャスティングにご苦労があったのではないでしょうか。

大塚 それはもう、すっごく苦労しました。特に、実名の役を引き受けてくれる役者さんを探すのは大変でした。「こんなに大変なら、いっそ全員架空の人物という設定にしてしまおうか」と考えたこともあったんですが、やはり閣僚は実名でなければ、この作品が成立しなくなる。ものすごい葛藤でしたね。
 最終的には、主演の北村有起哉さんや菅首相(当時)役の三田村邦彦さんはじめ、実力も知名度も兼ね備えた俳優さんたちが、作品の趣旨に理解を示してくださいました。

──スタッフやスポンサーに関してはいかがですか。

大塚 難航しましたね。スタッフに関しては、社会派の作品を作り慣れている人に頼めばもう少しスムーズだったかもしれないですが、プロデューサーとしては、エンターテイメント作品で腕を磨いてきた人を集めることにこだわりました。
 『太陽の蓋』のスタッフは、社会派の作品を作った経験はほとんどゼロ。あえてそういうスタッフで原発事故をテーマとする映画を作ることに意味があると思うんです。「普通の人」に見てもらうためには、観客をスクリーンにグッと惹きつけるドラマとしての完成度も問われますから、ここは譲れませんでした。
 難航はしたものの、「この人なら」というスタッフが集まったので一安心。映画の趣旨に深く共感してくださるスポンサーもみつかりました。今でも、エンドロールを見るたびに泣けてきます。「キャストもスタッフも、みなさんよく引き受けてくれたな~」って。最初は「この映画を作ったら、あなたはプロデューサーとしてやっていけなくなるんじゃないか」と言われるくらい風当たりが強かったので、思いを共有できる方々に出会えて本当に心強いです。




また、この映画に私が好感をもったのは、官邸だけでなく、福島の家族、東京の母子、日本に住むアメリカ人など、市井の人々が感じていた恐怖もきちんと描かれていたからです。
NHKなどでも事故のドキュメンタリーなど放送されていましたが、やはり専門用語や予備知識など、一般的に敷居が高いこともありますよね。そうじゃなくて、あの時、多くの方たちが持った恐怖は、専門用語とは別のところにあったから。理屈ではなく、生存本能のようなもの。
事実を冷静に見極め伝えなければいけない視点と、見えない恐怖に包まれた人々の視点がちゃんと描かれており、リアルタイムで関東にいた私は、この映画を評価できると思いました。
以下、再び記事抜粋。



冷静に事実を描くことで、
多くの人に原発事故のことを考えてほしい。


──『太陽の蓋』には、1号機の爆発を、閣僚がテレビ報道で初めて知るシーンが描かれています。当時の官邸の混乱ぶりを象徴するシーンですね。

大塚 最初は私も、官邸は情報を意図的に隠していたんじゃないかという思いがありました。そう報じるマスコミは多かったですから。でも資料を読むと、バラバラと上がって来る情報に対処するのが精いっぱいで、「この情報は隠す、これは公表する」と選択できるような状況ではなかったんだとわかりました。
 この作品を作るにあたって、『原発危機 官邸からの証言』はもちろん、国会事故調の資料や政府発表資料、原子力安全保安院の資料など、当時の状況を知るために山のような資料を読み込みました。浮かび上がってきたのは、事故の影響の大きさと、官邸の混乱ぶりです。正確には官邸だけでなく、電力会社もマスコミも、大混乱の中にあった。だからと言って、対応の不備が許されるわけではありません。でも私たちは、事実として何が起きたのかを、できるだけ正確に知っておいた方がいいと思うんです。



──『太陽の蓋』には、事故当時官邸にいなかった人物も多数登場します。

大塚 制作期間中、監督がよく話していたのが「この映画は単なる政治ドラマではなく、原発事故によって市井の人が何を感じたかを描くドラマだ」ということ。
 小さな子どもを育てる母親、最前線に立たされたフクイチの作業員、作業員を送り出さねばならなかった家族、避難生活を余儀なくされた浜通りの人たち、日本からの退去を命じられた外国人──。官邸にはいなかったけれど、みんな、原発事故によって大きな影響を受けました。
 映画で語れることには限りがありますが、『太陽の蓋』では、できるだけ原発事故の全体像を見せたかった。事故当時の日本を俯瞰で見る作品にしたかったのです。

(後略)



大塚馨(おおつか・かおる)1968年、東京都生まれ。コンサルタント会社勤務を経て、2001年『Departure』で映画プロデューサーデビュー。以後、2005年『真昼ノ星空』、2010年『心中天使』など、エンターテイメント作品を多数手がける。2014年、『無知の知』で初めてドキュメンタリー映画を製作。共同・平和ジャーナリスト基金・奨励賞受賞を受賞する。




今後の仕事のリスクを犯しても、骨太でインパクトのある映画を作ってくださったこと、出演者やスタッフの皆様のご尽力、スポンサーの心意気、本当にありがたいと思いました。
より多くの方たちに、この映画が見られることを願ってやみません。


太陽の蓋公式ホームページ http://taiyounofuta.com/



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2 コメント

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Unknown (ましま)
2016-08-31 18:43:15
新潟県は全域東北電力管内で東電が自由化があったとしても広告する理由はないはずです。

また、新潟日報は県下でシェアーが高く、購読料収入に対して広告依存度が低い新聞社です。

菅さんが調べるそうですが、立候補断念を新聞のせいにするのはやや無理かと思います。

柏崎原発の地震による発電機火災や、巻原発を住民投票で葬るなど、県民の反原発の意識は相当高く、何らかの工作があれば命取りになるでしょう。
返信する
ましまさんへ (金木犀)
2016-08-31 21:49:35
コメントありがとうございます。
この記事ではなく、トップの記事に頂いたコメントと思いますので、リンクさせておきますね。
http://blog.goo.ne.jp/hanamiduki87/e/a60dd49ba9177bd5a83e0c9ccedd248a

もう一度確認しましたが、福島も新潟も、東北電力管内ですが、柏崎刈谷原発は、東電が管理していますね。

>菅さんが調べるそうですが、立候補断念を新聞のせいにするのはやや無理かと思います。

表むきでは、地方紙と知事との対立、ということでしょうが、それだけで、出馬を取りやめる、ということは、やはり不自然に思います。

裏に何かあるんじゃないかって、菅さんじゃないですが、勘ぐりたくなります。
東電は、広告も、数度にわたって出したことがあるようですし、広告料と引き換えに泉田知事に不利な記事を書くことも、いかにもやりそうな・・・

今日の、東京新聞、
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201608/CK2016083102000112.html
泉田知事は、東電のメルトダウン炉心溶融の事実隠蔽を激しく批判し、真相究明を求めてきたそうです。

>その結果、東電は今年二月になって、炉心溶融の判断基準を記したマニュアルを見過ごしていたと発表。東電の第三者検証委員会が六月、「当時の社長が炉心溶融という言葉を使うなと社内に指示していた」との報告書をまとめ、広瀬社長は隠蔽を認めて謝罪した。

この6月の報告書の時も、「官邸から隠蔽するように支持された」と、あたかも当時の菅総理が言ったかのように話して、自分たちの責任を当時の政権に押し付け、責任転嫁を図ろうとしていました。

泉田知事の出馬取りやめの真相がどこにあるかは、断定はできませが、
安倍政権が、マスコミトップと食事をしては、丸め込んでいることも、すでに公然の秘密ですから、
あえて、泉田知事が名指しで新聞社を批判しているところに何かあるのではないかと思っています。

また、原発と反社会的組織とは、つながりが深いようですし、泉田知事は、「遺書があっても自殺ではない」と言っているくらいですから、言いにくい何かしらの圧力はあると思います。
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