舞台は前作の清く涼やかな空気のフィンランドから、一転常夏の与論島へ。
荻上直子監督・脚本、小林聡美・もたいまさこ出演の癒し系?ムービーです。
物語に特にこれといった展開はありません。
ある宿に集った面々の、島でのゆったりとした暮らしぶりが淡々と綴られています。
全員で食卓を囲むシーン。季節限定?海の家でかき氷を食べながら海を眺めるシーン。
そんなシーンが思い出されます。
空はどこまでも青く高く、海はどこまでも青く静か。
途中、心地よすぎて睡魔に襲われるほど(笑)。
就職して間もない頃、GWにどこか行きたいなあと思いつつもぐずぐずしていたら、
めぼしい観光ツアーは全て予約でいっぱいで、辛うじて残っていたのが与論島ツアーでした。
たぶん、与論島が観光地としては今よりもひっそりとしていた、ウン十年前の話です。
同じくツアーからあぶれた友人との二人旅でしたが、映画で描かれていたように、
特にこれといった観光名所はなく、滞在中はただただ平坦な島を自転車で周回して、
ひたすら海辺で遊びました。海岸でウニを拾っては、海水で洗って食べましたねえ。
おかげで人生で最悪の日焼けをしてしまいました。ははは…
その時にできた背中のシミは今でもうっすらと残っています。
あんなに日に照らされているのに、小林嬢の美肌は日焼けもせず、不思議でありました。
もたいまさこ女史は、相変わらず”もたいワールド”で、観客を煙に巻いていました(笑)
タイトルは集うメンバー全員が「めがね」をかけていることから来ているようですが、
小林嬢演じる主人公にとっては、日常のしがらみのようなもの?心の鎧のようなもの?
クライマックスのシーンでそんなことを感じました。
合い言葉は「皆さん、たそがれませんか~」
見終わって、まず感じたことは、
こうした映画が作られ、受け容れられるということは、
みんなよっぽど「お疲れ」なのかなあ、ということ。
そして、荻上監督のようにオリジナリティ溢れる作家の存在は、
邦画界では貴重だな、ということ。すでに一定のポジションを獲得していますね。
エンドロールのスナップ・ショット集は前作の『かもめ食堂』でも印象的でしたが、
凄くセンスの良いショットですね。荻上監督自身によるものなのでしょうか?
もたいまさこ女史のショットなんて、彼女”らしさ”が滲み出ています。
■結構面白いです⇒映画『めがね』公式サイト
【改めて考えたこと】
何をするでもなく日がな一日のんびり過ごす彼らのスタイルは、
南欧のバカンスの過ごし方に近いのかなあとも思います。
忙しく名所を巡る”観光”ではないんですよね。あくまでも”バカンス”。
日本の現行の就業システム上、長期は無理だから、”プチ・バカンス”。
いっそのことフランス並みにバカンスを制度化すれば良いのにとも思いますが
(フランス人は1年のうち、連続して5週間もの長期休暇を取るのです!)
ある調査によれば「先進国で日本は最も労働生産性が低い」とかで
(逆に5週間の長期休暇が取れるのはフランス人の労働生産性が高いからとの説も)、
これをまずクリアしないといけないかもしれません。
それではなぜ日本人は労働生産性が低いのだろう?
時間をかけている割に仕事の成果が上がらない、と言うことでしょう?
能力の問題とは思いたくないのですが…何が原因なんだろう?
その前に何を以て労働生産性の高低を決めているのか、調べるべきかしらね。
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