はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

なぜフジテレビが教育問題を語るのか?

2006年11月09日 | はなこのMEMO
土曜日夜に教育問題を取り扱う特別番組を
6時間に渡って放映するようですが、
夫が、総合司会を務める北野武嫌いなので、
リアルタイムには見られそうにありません。
まっ、テレビの前に6時間座るのも…ね。
録画して後で飛ばし飛ばし見るのが効率的かも。


その放映に合わせて、今週は月曜日から、
朝の『とくダネ!』や夕方のニュースで、
教育問題の特集を放映しています。
『とくダネ!』のを見ていますが、結構興味深い。

昨日はイマドキの「道徳教育」についての特集でした。
ある小学校での授業の事例紹介。
「門番のマルコ」というお話を題材に小学生達に考えさせる。

マルコはお城の門番を仰せつかった。
この門は戦いに出陣する時以外、絶対に開けてはならぬ、
との王からのお達しだ。
ある時、マルコがいつものように門番をしていると、
狩りの途中で急な発熱を覚えた王の一行がマルコのもとに来て、
「王様が急病なので、この門を開けて通して欲しい」と訴えた。
さて、門番のマルコは門を開けるべきか否か?

まず授業で子供達に考えさせ、討議させ、
その場で結論は出さずに、一旦家に持ち帰らせる。
子供達は自宅でも家族を巻き込んで、
マルコが城の門を開けるべきか否かについて考える。

翌日、再びクラスで討議する。
考えに考えた子供達の意見には、変化が現れたりしている。
結局、全員一致の結論は見いだせない。

実はこの授業では、ひとつの結論を導き出すことが目的ではない。
個々の子供には、さまざまな角度からひとつの物事を検証し、
自分なりの考えを導くこと。
クラス全体では、ひとつの事柄についても、
様々な立場により、様々な意見が存在することを理解すること。
この2点を学ぶことを目的としている。
故事に習って「こうするべき」と、
一方的な道徳観念の押しつけはしない。
この授業のやり方は海外からの輸入なんでしょうか?
(⇒【追記】「モラル・ジレンマ授業」と言うようですね。
20年以上前からあったとは知りませんでした。)


私なんぞ、道徳観念はかなり保守的?なので、
今の時代は旧来の「善か悪か」と言った道徳観念よりも、
(私の第一印象ではカントの言うところの二律背反論?に
依拠したような?)

”多様な価値観の受容”がまず優先されるんだなあ、
とちょっとした驚きでした。
(上から「こうあるべき」と教え込むのではなく、
子供達がケーススタディを通して、自ら考え、意見を述べ合い、
その一連の作業を通してより高次な道徳観念を獲得して行く
授業形式らしい。)


しかし、なぜフジテレビが…?
(失礼ながら、フジテレビに対しては、
C型肝炎ウィルス問題周知キャンペーン報道のような
硬派な一面もあることを知ってはいるけど、
全体的に”軽薄なテレビ局”というイメージが強い。
そういうテレビ局が教育問題を語るなんて、
という意外性があるのです。)


【追記】あらあら、これは私の不勉強でした。
昨年放送した番組の好評を受けて、
今年は放送時間を拡大しての第二弾なんですね。
フジテレビのことだから、正攻法には行かなくて
切り口もひと味違ったものになりそうですが…
まさかバラエティのノリで作ったりはしませんよね。
現代日本社会の歪みを一手に受けているのが、
「教育問題」という印象もあるので、
真摯に切り込んで行って欲しいものです。

それにしても6時間は……長いです。
徒に長いだけではないことを祈ります。
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