私達家族が住んでいるマンションも今年で築20年となる。
歳月の流れに伴ってリタイア世代も増えて来た。そうしたリタイア世代を中心に、数年前に住民の間で自然発生的にガーデニングのサークルが出来た。
そのメンバーの方達が土づくりから始めて、マンションの各所に花壇を作ったり、寄せ植えの鉢を配置して下さっている。おかげで、今の季節は特に色とりどりの花々が、マンション住民や訪問者の心を和ませている。
実はこのガーデニング、思わぬ副次効果をもたらしている。それまでマンション敷地内の隙間に適当に駐輪されていた自転車の駆逐に役だったのだ。一部有志がマンションの美観に注意を払うことで、住民全体の意識を徐々に変えて行ったのだろう。さらにガーデニングによる美観の向上が住民の管理意識の高さを示すとなれば、マンションの防犯対策にも繋がると言えるのかもしれない。
ガーデニング・サークルで交遊を深めた人々は、昨年末には忘年会を企画した。住民の半数以上が夫婦連れで参加したようだ。
あいにく私はたまたま美術館のワークショップの日程と重なって、帰宅が遅くなってしまったので参加できなかったのだが、ひとりで参加した夫が(あの街中の仙人が)、「なかなか楽しかった」と言っていた。住民同士で手料理を持ち寄っての気楽な飲み会だったらしい。開始時間も日曜日の午後5時と早く、終わるのも8時頃で健全そのもの(笑)。
とかくマンション住まいは住民同士の交流も少なく、「隣の人は何する人ぞ」になりがちとも言われるが、上手に音頭取りをする人がひとりでもいれば、ウチのマンションのように和気藹々とした雰囲気もつくれるのかもしれない。
さらにリーダー格の人が住民の人望を集める形で管理組合理事長に就任し、それまで管理会社任せだった管理経費を細かくチェックして無駄を洗い出し、このほど管理会社の変更に至った。リタイアして時間的余裕が出来たからこそ、マンションの管理状態にも目を向けられたと仰っていた。マンションの老朽化に伴い、管理経費は増えこそすれ減ることはないはずで、築20年と言う節目に、管理の見直しも図れてちょうど良かったのではないかと思う。
多くの住民にとっては終の棲家になるであろうマンション。皆で力を合わせて、できるだけ良好な状態で維持管理して行きたいものだと思う。