はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

ベオグラード国立美術館所蔵 フランス近代絵画展

2006年02月28日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)

日本橋三越本店 新館7階ギャラリーで開催中
(2月22日(水)~3月12日(日))の展覧会チケット

例によって、新聞集金人から貰い受けた招待券で、
現在開催中の表題の展覧会に行って来ました。

《水浴する女性》(1915年頃)、オーギュスト・ルノワール
「ベオグラード国立美術館のモナリザ」と称される逸品で、
1996年一度盗難に遭い、すぐに取り戻すことはできたものの、
酷い損傷を受け、懸命の修復作業で蘇った作品。
当時の修復の様子がパネル展示されています。
激しく損傷した状態の写真には、胸が締め付けられました。


さて最近、日本の美術愛好家もだいぶ目が肥えて来て、
フランス印象派には飽き足らなくなった、とのレポートを
目にしたばかりです。
今回の展覧会は123点のうち、46点が日本初公開で、
印象派のみならず、象徴派や20世紀初頭のキュビズム、
フォービズムまで網羅した内容となっており、
どうせデパートの客寄せ展覧会だろうとの私の予想を
良い意味で裏切ってくれました。
何でも、美術館の老朽化に伴う大がかりな改修工事中の
来日と相成ったらしく(そういうケースが多いですね)、
セルビア・モンテネグロ(旧ユーゴスラビア)に行く
機会など到底持ち得ない私にとっては、ラッキーな出逢い
であったと、言えるのかもしれません。

お馴染みのコローの風景画に始まって、モネ、ドガ、
ルノワール(素描が多数展示されていて興味深い)、
シニャック、ゴーギャン、ロートレック、セザンヌ、
ピサロ、カリエール、マティス、ユトリロ、ピカソ、
ヴラマンク、ボナール、etc…とにかく多彩な画家の
個性豊かな作品群で、最後まで飽きさせません。


《サン・マロの港》一部(1928)、ポール・シニャック

写真のシニャックの作品は、一時は点描画の作品と理論で
名を馳せたシニャックが、次第に精緻な点描画から離れ、
より自由闊達な筆致で風景を描いた晩年の水彩作品です。
こういった珠玉の作品が、東欧の旧ユーゴスラビアで、
内乱の戦禍を免れて残っているのが嬉しい。
他にはドガの踊り子や、ゴーギャンのタヒチ女性を
描いた作品も、後を引く印象の深さでした。


《窓辺》(1918年頃)、アンリ・マティス

狭い空間に所狭しと展示され、けっして作品にとっての
環境は好ましくなく、何だか申し訳ない気持ち。
本来ならば厳しく制限されるべき長傘の持ち込みも自由で、
作品に指が触れんばかりの行為にも、警備員は何ら注意を
しないなど、他国の貴重な作品を預かっている側としての
三越の責任感の希薄さが気になりました。 
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