はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

生涯現役でありたい~少子高齢化の時代に

2005年12月23日 | はなこ的考察―良いこと探し

昼下がり。横浜・山下公園にて。

厚生労働省が22日に公表した2005年の
人口動態統計*の年間推計で、統計史上初めて
出生数が死亡数を下回る自然減となったことが
同日付の新聞でも大きく報道された。
「人口減社会」が予想より早まる見込みとなり、
少子化を深刻視する声がもっぱらだ。
子育て世代が出産しやすく、子育てしやすい
社会基盤の整備はもちろん急務だと思うが、
少子高齢化はそんなに、我が国にとって悪い
ことばかりなのだろうか?素朴に疑問だ。
現時点で私達にできることは何もないのか?
現在ある資産・資源(何もお金に限らない)を、
きちんと活用した上で言っていることなのか?
国は何だか何十年か先のことを案じて
「大変だ、大変だ」と騒いでいるばかりで、
いたずらに今、国民を不安に陥れているような
気がしてならない。

無駄な国の支出を減らすとか、不正を正すとか、
今やれる限りのことを全てやった上で大変だと
言うのなら理解できる。
実際はすぐに手をつけるべきこと、すぐに
対処すれば傷が浅く済むものを先送りして
いるだけではないか?今までもずっとそう
して来たから、問題がここまで大きくなって
いるのではないか?
何か問題が起きた時には、巧妙に誰も責任を
取らないシステムになっているのではないか?
構造計算書偽造問題にしても、そうした日本
という国の無責任体質が露わになっただけの
ことなのではないか?

現在日本にある豊富な資源のひとつは人的資源だ。
再来年大量定年を迎える団塊の世代の技術力、30代
以降の女性達の多様な職業経験。多くのシニア世代は
昔と違って頭も身体もすこぶる元気だ。
22日付夕刊には、外食大手が「ここ2、3年で若者
のパート・アルバイト確保が難しくなってきている。
今後はシニア層にも目を向けて人材の確保を目指さない
といけない」と危機感を訴えているとあった。
私に言わせれば、何を今さらである。

数カ月前のこと、駅ビルの天ぷら料理店に入った。
給仕の担当はなんと70歳は優に超えていると
思われる女性だった。さすがに動作は機敏とは
言えない。ところが、これが何とも心地良いのだ。
言葉や所作が柔らかく、こちらも自然とゆったり
構えられる。人生のベテランに接客マニュアルは
不要だ。まず自然な心遣いで慇懃無礼さがない。
妙な敬語表現もない。レジは板前さんと思しき
男性が調理場から出て来て対応していた。
どういった事情から、このシニアの女性を
採用したか経緯は知る由もないが、これは
良いなと思った。それはもう何年も、若い
アルバイト店員の接客態度に不満を募らせて
いたからということもある。

大抵の外食産業は、人件費節約のために、
給仕は若い店員をアルバイトで雇い入れている。
今でこそ、30代、40代の主婦と思しき女性の
姿も見受けられるが、ほんの数年前までは若い
店員ばかりだった。高校生や高校出たての子を
即席で店員に仕立てるため、店側は当然のように
接客マニュアルを完備している。定着率の問題も
あるから、マニュアルは接客の質の確保にある
程度役立ってはいたのだろう。しかし一方で
マニュアル頼みで、心の籠もっていない、自分の
頭で考えない接客も確実に増えた。

もちろん若い子を責めてばかりでは気の毒だ。
そもそも雇用システムに問題があったのだから。
これからは、幅広い年齢層の人々が共に働く場が
増えると良いなと思う。否、実際増えつつあるの
だろう。雇う側も見てくれ重視ではなく、
人生経験をきちんと認めて、30代からシニア層まで、
やる気のある人を年齢や性別で切ることなく
積極的に雇用して欲しい。
少子化で人材不足と騒ぐのは、見当違いも甚だしい。
気力も体力も能力も充実していながら、年齢の壁で
切られていた人々は、この国にごまんといるのだから。
その人材を生かさないで、国力の減退うんぬんは本当に
失礼な話だと思う。

*人口動態統計
出生・死亡・婚姻・離婚・死産という人口に関する
5つの事象を把握するために厚生労働省が集計している。
年間推計の調査対象は日本にいる日本人の動向。
近年顕著な日本人の出国、外国人の入国といった
社会的な人口移動は含んでいない。
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