簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

2020年4月改正 労働者派遣法(労使協定方式 労使協定の作成方法② 派遣労働者の範囲)

2019年11月12日 | 2020年4月 労働者派遣法改正



2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



前回、労使協定に定めなければいけない事項について説明しました。

締結事項については、以下の通りとなります。



  ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





今回は、その労使協定に定めなければいけない各項目の具体的な記載方法について

説明していきたいと思います。









【労使協定の対象となる派遣労働者の範囲】



労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載します。記載方法は次のような

感じになります。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、すべての派遣労働者を対象とする。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、プログラマーの職種に派遣する

  派遣労働者に限る。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、有期雇用派遣労働者に限る。




性別、国籍等、他の法令に照らして不適切な基準によることは認められません。

例えば、

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、女性の派遣労働者に限る。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、日本国籍を有する者以外の派遣労働者

  に限る


などがこれに該当します。



また、恣意的に派遣労働者の賃金を下げるために労使協定の対象となる派遣労働者

を限定することも法の趣旨に反するため認められません。

例えば、

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、賃金水準が高い企業に派遣する労働者に

  限る。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、○○○○株式会社に派遣されている派遣労

  働者に限る。


などは認められません。



上記の内容を踏まえていただいた上で、実際にどのような範囲を定めるかは

労使で話し合って決めていいただくことになります。







http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html



2020年4月改正 労働者派遣法(労使協定方式 労使協定の作成方法① 労使協定の締結事項)

2019年11月12日 | 2020年4月 労働者派遣法改正



2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。





労使協定方式における派遣の手続きの流れは以下の通りとなります。



  ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





労使協定方式で一番大事な手続きは何と言っても「労使協定を作成すること」

です。





以前にも申し上げましたが、2020年4月1日から「労使協定方式を適用しよう」と

思っていても、2020年4月1日時点で労使協定を締結していなければ、4月1日から

労使協定を適用することはできず、派遣先均等・均衡方式が自動的に適用されて

しまいます。

(2020年4月1日以降に労使協定を締結することも可能です。ただし、締結した後

 でないと、労使協定方式を適用することはできません。例えば、2020年の5月1日

 に労使協定を締結した場合は2020年5月1日以降からでないと労使協定方式は適用

 できないということになります。)





そこで、今回から複数回に渡り、労使協定の作成方法について解説していきたい

と思います。











まずは、「労使協定の締結事項」について説明いたします。

労使協定で締結しなければいけない事項は次の通りとなります。



 ・労使協定の対象となる派遣労働者の範囲


   → 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載

 ・派遣労働者の賃金の決定に関する事項

   (イ)派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の

      平均的な賃金(以下「一般賃金」という)の額と同等以上の賃金の

      額となるものであること


       → 職業安定局長通知で公表されている派遣労働者専用の職種

         ごとの最低賃金表に示されている時給額よりも高い時給額

         を派遣労働者に支払うことを比較して示した派遣労働者用の

         賃金テーブルを記載すること

   (ロ)派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他

      の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善される

      ものであること


       → 派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて

         昇給するような内容のものを記載すること

         (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブル

          ではダメ!)

 ・公正な評価に基づき賃金額を決定する旨

   → 例えば「派遣労働者と面談して成果目標を設定し、一定期間後に達成

     状況について改めて面談を行って評価を決める」というように、具体

     的な評価方法を定めること

 ・賃金以外の待遇の決定方法

   → 賃金額については職業安定局長通知に示された額以上の額を支払って

     おればいいので、それ以外の待遇については「派遣元の派遣労働者以

     外の正社員」と「派遣労働者」との間で整合性が図られる待遇を取る

     ことを記載すること

 ・段階的かつ体系的な教育訓練

   → 2020年4月以前の派遣法でも規定されていた、教育訓練計画に基づく

     教育訓練を派遣元は派遣労働者に対して実施する旨

 ・その他の事項

   (イ)労使協定の有効期間


       → 労使協定の有効期間を記載すること

   (ロ)労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定

      する場合には、その理由


       → 労使協定の対象となる派遣労働者については客観的な基準に

         基づいたものであれば限定することができる(例えば、職種

         や有期雇用か無期雇用の違いなど)が、その場合は、限定した

         理由を労使協定に記載すること

   (ハ)特段の事情が無い限り、一の労働契約の契約期間中に、当該労働契約

      に係る派遣労働者について、派遣先の変更を理由として、協定対象派

      遣労働者であるか否かを変更しないこと


       → 派遣労働者の待遇決定方式(派遣先均等・均衡方式又は労使協

         定方式)が、派遣先の変更を理由として、一の労働契約期間中

         に変更されることは、所得の不安定化を防ぎ、中長期的なキャ

         リア形成を可能とする労使協定制度の趣旨に反する恐れがある

         ことから、特段の事情が無い限り、認められないことを記載す

         ること











http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html




2020年4月改正 労働者派遣法(労使協定方式 均等均衡方式か労使協定方式のどちらかを適用?)

2019年11月11日 | 2020年4月 労働者派遣法改正


2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。





以前から何度も申し上げている通り、2020年4月1日以降は派遣元は派遣労働者

の待遇について「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」のいずれかを

選択し、実際に適用しなければいけません。





ただし、労使協定方式については、客観的な基準があれば限定して適用すること

も可能です(ただし、客観的な基準であったとしても「性別」「国籍等」他の

法令に照らして不適切な基準によることは認められません)。





例えば、

 ① 職種ごとに「この職種の派遣労働者には労使協定方式を適用し、他の職種

   の派遣労働者には派遣先均等・均衡方式を適用する」場合

 ② 有期雇用派遣労働者には労使協定方式を適用し、無期雇用派遣労働者には

   派遣先均等・均衡方式を適用する場合

ということも可能です。





ただし、「この派遣先は正社員の賃金水準が高いからここに派遣している派遣労

働者には労使協定方式を適用し、この派遣先は賃金水準が低いからここに派遣し

ている派遣労働者には派遣先均等・均衡方式を適用する」
など、恣意的に派遣労

働者の待遇を下げるために適用する方式を変更することは派遣法の趣旨に反する

ため認められません(つまり、派遣先によって派遣先均等・均衡方式を適用する

か労使協定方式を適用するかを分けることは認められないこととなります)。










http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html





2020年4月改正 労働者派遣法(労使協定方式 労使協定方式の流れ)

2019年11月11日 | 2020年4月 労働者派遣法改正



2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。





以前にも、「労働者派遣の流れ」として、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式

の一連の流れについて説明しましたが、今回ももう一度おさらいとしてそれぞれ

の労働者派遣の流れについて説明したいと思います。





改正後の労働者派遣の手続きの流れは以下の通りとなります。

(1)派遣先均等・均衡方式



  ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます







(2)労使協定方式



  ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





図を比較していただいたら分かる通り、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の

派遣の流れの違いについては労使協定を事前に締結するかしないかの違いしか

ありません。





しかしながら、「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」の内容や

「待遇に関する事項等の説明」の内容が派遣先均等・均衡方式と労使協定方式

では異なることになります。





次回以降、労使協定方式における労使協定の作成方法について説明していきた

いと思います。









http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html




2020年4月改正 労働者派遣法(労使協定方式 派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の違い)

2019年11月11日 | 2020年4月 労働者派遣法改正



2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。





前回までは、派遣先均等・均衡方式について一通り説明してきましたが、

今回からは労使協定方式について説明していきたいと思います。





労使協定方式の説明をしていく前に、今までのおさらいをしたいと思い

ます。





2020年4月1日以降、労働者派遣法が改正されますが、その際、派遣労

働者の待遇については

 ① 派遣先均等・均衡方式

 ② 労使協定方式


のいずれかの方式を派遣元は取らなければいけないこととなりました。





①派遣先均等・均衡方式と②労使協定方式の違いは以下の通りとなります。



【派遣先均等・均衡方式】

  派遣先均等・均衡方式とは、「派遣先の正社員と派遣労働者との給与等

  の待遇について整合性を図りなさい」というものです。

  具体的には、派遣契約(更新も含む)のたびに、派遣先は正社員の給与

  その他の待遇について詳細な情報を派遣元に通知し、派遣元はその情報を

  元に派遣労働者の給与等の待遇を決定しなければいけないというものです。



【労使協定方式】


  労使協定方式とは、本来、派遣先均等・均衡方式によって派遣労働者の

  給与等の待遇を決定しなければいけないのだが、そうは言っても、毎回

  毎回、派遣契約のだびに、派遣先からの情報を元に派遣労働者の給与等の

  待遇を決定することは大変なので、毎年、7月ごろに政府が派遣労働者専用の

  職種ごとの最低賃金表を公表するから、その額よりも高い賃金額を払うこと

  を派遣元と労働者との間で約束し(労使協定を締結し)、その約束を実行

  するんやったら毎回毎回、派遣先から情報を貰わんでもええし、派遣先が

  変わってもその約束した賃金を払ったらいいよ!というものです。





したがって、派遣先均等・均衡方式が原則で、労使協定を締結した場合に限り、

労使協定方式を選択することができるということになります。





また、2020年4月1日から労使協定方式を取るのであれば、それまでに労使協定を

締結しておかなければいけませんので、ご注意ください!













http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html