簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

派遣労働者を特定する行為の禁止

2018年11月05日 | 特定行為の禁止
前回までで個別契約書の記載方法については一通りご説明させていただきましたが、

個別契約書を作成されたら次は、どの派遣労働者を派遣先に派遣するか?ということに

なります。



派遣元に登録されている方から選ぶのか、新規で募集をかけるのか

方法はいろいろありますが、その際に派遣元事業主として気を付けて

いただかなければいけないこととして

「派遣先が派遣労働者を特定することを目的とする行為に対する協力の禁止」


が挙げられます(派遣元指針第2の11の(1))



派遣先には、

「派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止」

(派遣法第26条第6項、派遣先指針第2の3)

が定められており、派遣元事業主もそれに協力してはいけないこととされています。



具体的に「派遣労働者を特定することを目的とする行為」とは何かと言うと、

① 派遣する前に派遣労働者を派遣先に面接に行かせること

② 派遣する前に派遣予定の労働者の履歴書を送付させること

③ 若い派遣労働者しか受け入れないとすること(例えば、「35歳以下に限定」など)

④ 以前派遣先で派遣就業していた派遣労働者を名指しで指名すること

⑤ 現在、派遣されている派遣労働者の変更を派遣元が求めること


などが挙げられます。



これらの行為が禁止されている理由としては、どの派遣労働者を派遣するかは

派遣元の権限であり、そこに派遣先が口を挟むことは、派遣先がその派遣労働者を

直接雇用していることと同じことになりそれを避けるために禁止されています。



つまり、そこに口を挟みたかったら、派遣先が直接雇用すればいいでしょ?と

いうことになります。



このように、派遣労働者を特定する行為については、派遣元・派遣先の双方とも

禁止されていますが、派遣労働者が派遣就業を行う派遣先として適当であるか

どうかを確認するため自らの判断の下、派遣就業開始前の派遣先の事業所を

訪問することや履歴書を送付することは特定行為に該当せず認められています。



しかし、これも派遣労働者の意思ではなく、派遣元事業所の独断で実施した場合は

特定行為となり派遣法に抵触することになりますので、お気を付けください。








http://haken-higashitani.com/







(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf