上海下町写真館2010

上海より半年ぶりに帰国しました。マイペースで故郷の風景や歴史などをご紹介します。

上海ライブ2013:旧上海四大百貨店(1)「先施公司」-黄浦区南京東路

2013年12月14日 06時00分00秒 | 上海優秀歴史建築
1.西蔵中路から始まる南京東路の歩行者天国を外灘に向かって東に400mほど歩くと、浙江中路の北西角に尖塔をもった洋風建築が見えます。

2.左手に見えるのが旧「先施公司」です。



3.現在は百聯集団の傘下「上海時装商店」が衣料品中心の販売を行っています



4.7階建ての屋上には「摩星塔」と呼ばれる3階建ての尖塔があります。



5.創始者「馬応彪」が狙ったように浙江中路の交差点は毎日大勢の人出で賑わっています。



6.市内観光バスもここで一時停車します。



7. 外灘へ観光する旅行者は必ずここを通るでしょうね。



8.併設されていたホテル東亜旅社(現東亜飯店)の記念碑。現在は錦江グループのビジネスホテルとして営業しています。



旧「先施公司」の故事

辛亥革命を成功させた指導者の孫文は、世界各地の華僑に対し上海へ積極的に投資するよう働きかけましが、
孫文と同郷広州出身で豪州華僑、香港先施公司の総裁「馬応彪」はその呼びかけに応じた一人でした。

1914年、馬応彪は自ら上海に赴き上海に相応の公司を設立することを決意し、南京東路と浙江中路一帯を入念に調査した結果、
浙江中路では南から北へ向かう人の流れが多い事が分かり、南京東路の北側に店を構えることにしました。

土地の権利者である英国商人雷士徳(HenryLester)と交渉、使用料として年間銀3万両、30年間の契約で合意、約1.3haの土地を借り受け、
1915年に起工、1917年10月に7階建て、建築延床面積3万m2のバロック風建築が完成、開業しました。
特別目新しかったのは従来の商習慣にない<値切りなしの正札販売>と<女性販売員の登用>でした。

買う以外にも遊ぶ(屋上庭園)・食べる(レストラン)・見る(劇場)などの娯楽のすべて備えた百貨店で、1000人以上の従業員が勤務し、
エレベータや暖房設備もあり、約1万m2の売り場以外に、華人による国内第一の高級ホテル東亜飯店、レストランなども併設されていました。

1937年8月23日午後、先施公司は空前の大災害に遭遇しました。
白崇禧ら国民党幹部の秘密会議が開催される極秘情報を入手した日本軍は、航空機による爆撃を強行しました。
爆弾は先施公司前の路上で炸裂し、市民173人が死亡、549人が負傷、建物1階玄関と2階3階が大破し、付近10余の商店も建物に大損害を受けました。

同月13日勃発した第二次上海事変、14日には中国空軍機が誤って大世界の前へ爆弾投下、2000人以上死傷者が発生、
同月28日には日本軍機が上海南駅を爆撃、市民約250人が死亡、500人余りが負傷。

以後、時代は泥沼の状態へと突き進んで、租界も苦難の時代を耐えなければなりませんでした。

撮影:CANON EOS5DIII + EF24-105mmF4 IS