モラリスト

僕は小学三年生のとき、遠足に行くのはどうしても嫌だ、と駄々をこねたことがある。
早熟だった僕は、子供と団体行動するのが鬱陶しくて堪らなかったのである。

僕の母親は父にその旨報告した。
すると父は「遠足に行け、団体行動ができないと将来困るんだよ」と僕を諭した。

僕の父親はある新興宗教の信者であり、徹底的なモラリストである。
ホントつまらない人間だ。

小説家の金原ひとみさんのお父さまは、学校なんか行きたくなければ行かなくてもいいと言っていたそうだが、彼女は若くしてその才能を花開かせた。
これこそが正しい教育といえよう。

父が仏教徒であったらなぁ・・・。
そうなのだ、仏教の教えを身につけておれば、遠足に行けなどとは言わないはずだ。

学校なんてたかだか百年ちょっとの歴史をもつ社会制度にすぎない。
しかも近年は様々な問題が噴出しているのもご存じのとおりだ。
教師の質の低下も目を覆うばかりである。

「団体行動をできるようにする」などと言うことは、学校が企業の下請け機関であると考えているから出てくるセリフなのだ。
仏教はもっと自由な発想をする。
学校なんて行きたくなければ行かなくていい。

モラリストは世の中に迎合する。
仏教徒は、そんなことはしない。
少なくとも僕は、社会に迎合してまで生きる必要を見いだせないのであります（合掌）