あひるはぐわぐわひよこはピヨ!

コントラクトブリッジのことや轟鬼くんと川口真五さんのこと、子供のことなど徒然なるままぐわぐわと書きます。

偽りの花園・第9話

2006-04-14 12:17:00 | 偽りの花園
前回に落とされた滝壷ドツボの回でしたね。
(いや羽生くんにとっては●壷に惑溺な回・・・ごめん下品だ)

美琶子ここへ来てイケナサ大爆発なんだそりゃ!を大披露。
ななな、なんのためにそんなことを・・・・?
そうかこれが昼ドラクオリティなんだね??(違?)

いや、やっと気がつきましたよ!
羽生くんがあんなに美琶子を毛嫌いしてた意味が!!
自分で心の内に律して抑えていた肉欲を露にされる予感と匂いに満ちていたからなんですね美琶子さまが!

第2話で初登場のとき、美琶子が座敷から去るときにじっと見送ってた羽生くん。
なんか意味ありげだけど・・・って思ったけど、まさかなぁと書かなかったんですよ。
赤い手まりの女の子、「じゃあ美琶ちゃんだわ!」って言われて、え?と見比べてしまったり。
その時からちょっと気になってたけど、美禰子を気に入ったしと持ち前の真面目さで交際開始。
美禰子の気立てのよさから心はどんどん美禰子が好きになり、男としてきちんと筋道立てて幸せに!なーんて大変真面目に純粋に考えていたんですねぇ。
そこには、どろどろした情はなかったのね。あくまで望ましい、恥じることない交際を!って思ってたんでしょう。

例え欲情が心を掠めても「こんなに純な美禰子さんにそんなことは!そんなこと考える自分はふしだらだ!」って思ったのかもなぁ。
だからこそ夜しのんで来た美禰子もそのまま返したのだな。
羽生くんにとって肉欲はもう禁忌そのものだったのかもしれない。表に出してはいけない隠すべきもの。相当の潔癖性です。
そしてそれはおそらく、羽生くんが「自分はこうあるべき!」と考える自己像に付随したもの。
帝国軍人として、日本男児として、あるいはひょっとすると祖父の喜ぶような姿になろうとして作り上げた美しいアイデンティティー。

ところが、美琶子さんときた日には。
そんな羽生くんを嘲笑うかのように、肉感的に迫ってきたわけだ。「産毛そって?」で。
自分が無意識に押さえ込んでる好きな人への劣情があるだけに、それはちょっとした刺激で危険ゾーンになりそう。
それを自分で感じたからこそ、そんな望ましくない自分になりたくないからこそ、美琶子を激しく突っぱねたんだなぁ。
彼が突っぱねたのは、美琶子に映した自分自身の肉体への忌むべき欲望だった、ってことか。

しかしね、こんな風に欲望を抑えるのは美徳といえば美徳だけど、やっぱり無理があったんでしょうね。
美禰子に別れを告げられる、という信じられない出来事の中で、恋しい気持ちだけが暴走して隠してきた劣情に火がつきそうなところで美琶子がそれを満たしてくれちゃったわけですね。
こうなると今まできつく戒めていただけにそれに耽溺してしまうって話も納得行きます。
たがが外れた様なもんですね。

それにしてもまぁ、そこまで女はよかったですか。
そうか、そういう欲の強さゆえに必要以上に自分で抑えてきてしまってたんだな。と考えたり。

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美琶子は人の持つ「肉体への欲」そのもの、なんでしょうかねぇ。
台詞もいちいち「あなたの身体云々」だったし。
羽生くん、体はそれに溺れてしまったけれど、心は依然として美禰子が好きで、また美琶子に「そうする方が皆幸せよ?」ってそそのかされてもう一度結婚の申し込みに行ってしまうわけだね。
形式的、大義名分的な”幸せ”という名のために。
自分が本当にどうしたいか、じゃなくてね。
周囲の人を思いやろう、皆がいいようにしようとしすぎて、結果的に自分の首を絞めてる。

ここでの美禰子もまた、ただ周囲の考えに流されるばかり。
「あいつはだめだ!」って言われれば羽生くんに別れを告げ、もう一度・・・と望まれればただそれを受け入れる。
あの、紙のお雛様のような現実を離れた理想に生きてた二人らしいといえば二人らしい。
共通するのは、2人とも「親の望むようないいこちゃん」ってことだ。
誠実で頼もしい、学業体躯も優秀な男子と、たおやかで気立てがよくて、慎ましやかな女子。絵に描いた様に「うちの子はいいこで・・・」と親が目を細めるタイプだ。
(この2人にはまた、人より強く「そうあるべき!」と思い込みそうな土壌がある。片や捨て子、片や親ではなく祖父に育てられた子。育ててくれた人になんとかして愛されようとするがゆえに、その人(達)の望む姿になろうとしてきたんだろう。本当の親からなら無償で与えられたはずの愛を得るために。悲しきイイコか。)

そんなおきれいごとのうちに生きてた2人を、色や欲や妬みといった、人間に潜むどろどろしたものを持って追い詰めるのが美琶子。
悪魔の計略。なんて言い得て妙なサブタイトル。
羽生くんは肉欲に溺れ、自分の持っていた自己像にあるまじき行為をはたらき続け壊れてゆく。
そう、食べ物を吐いてしまうほど神経がやられてるのにこの状態をやめることができない。
そりゃそうだ。だってあんた、なんでも美琶子まかせにしてるんだもん。
あの漁師小屋で彼は自分が持ってると信じてた、美しい自己像、アイデンティティーを亡くしてしまった。だからもう自分では決められない。
すがりつくしか出来なくなったのだ、美琶子という名の欲望に。

そして、今日きっと美禰子もきれいごとの世界から引き摺り下ろされるのでしょう。
美琶子と羽生、信じていた2人の裏切りという形で。
でも多分。美禰子は壊れたりしない。
美しくない、肉と欲と愛憎を知りはじめた美禰子がこの先どうしてゆくのかとても楽しみです。

いや、本当にこれ「人間の本質に迫る」ドラマって思っちゃいます。
ゆっくり観てると大変興味深い部分を色々感じます。

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なんかえらい長文になったぞ。
あの濡れ場ばっかな30分をみてこんなに書くなんてなぁ。

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3 コメント

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そうっすね~ (somasoma)
2006-04-14 15:25:28
警察官にあるまじき、とか教職者にあるまじきってよく聞きますけど

ストイックすぎる人は一度たがが外れると

落ちていく自分が止められなくなってしまうものなのかもしれません。

普通の人からすれば「なんでこんなことになる前にやめられなかったんだ」って・・・

きっとまじめで理想の高い人ほど一度犯罪に手を染めてしまうと理想と欲望の間で悩んで自滅していくのかも。

美琶子はそういう欲望を表に出さない人を丸裸にすることに快感を覚えるタイプ。

欲しいのは「形のあるもの」。

「永遠」とか「精神」とか「幸せ」といった「形のないもの(概念)」には興味がない。

おそらく入水自殺を止めた羽生青年に惚れたわけではなく、抱き上げられた瞬間に

羽生青年への認識が「結婚という概念」から「男性という物」に変わっただけなのでは?



第二部から少しだけ大人になった美禰子になるんですかね。

早々に一線越えるみたいですけどw

ええ!?早ッ!!ってカンジ。松田さんのラブシーンは出し惜しみしないんだ(違)

グレかけた御曹司は美琶子様の餌食になりそうにないんですけど・・・

あらすじ見る限り結構遊び人っぽいし。

でも「政治思想」という理想&概念を追い求めてる人だから危険といえば危険かも。
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Unknown (未羽)
2006-04-14 20:01:19
大丈夫ですよ~、私も恐ろしく長文なので。

こんなに理路整然には書けてないですけど(汗)



読ませて頂いて、私がこんなにも美琶子に嫌悪感を抱くのも

もしかしたら、羽生くんと同じ理由なのかな~と思いました。

ということは、私もきっと墜ちる時は一気なんでしょうね・・・怖っ!



すっかり、こちらの記事にインスパイアされてしまったので

guwaguwaさんの記事の焼き直しみたいになっちゃってるかもしれませんが

私も思うところを書いてみたので、初トラバさせて頂きました。



こちらの記事で、ずっと、羽生くんに対して、どうしてどうして!?

って、モヤモヤしてたのが本当にすっきりしました。

ありがとうございました。
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コメントありがとうございます (guwaguwa)
2006-04-14 21:45:22
>somasomaさん

禁欲的過ぎる状態しか知らないと、多分’ほどほど’という手加減が出来ないんでしょうね。

調整するスキルを持ってないんですから。

(一度も自分にそれを許してないこと=未経験のことなわけで)

all or nothingになってしまってもやむなし。



そうですね、美琶子にとって羽生は「自分を抱き上げられる程の力強い肉体(を持った人)」ですよね。身体目当てです。まさに。



美禰子は多分こんなことがあったからこそ、顕彦さんとはすぐに・・・になるんじゃないかと思ってます。

恥じらいとか、体裁を考えていい子にしてて、好きな人を失ったんだから、次に同じことはしなかろうと。

そういう変化を期待してますー。



顕彦さん達に対する頃には、アームド美琶子様に進化してらっしゃるんですよね?そしたら肉体云々だけでなく精神から絡めとるような一段上の罠を張ってくれるのを期待してます。

どんな弱さが美琶子さまの餌食になるのかなー顕彦さん?(←楽しみにするな~!)



>未羽さん

こんにちは。TB&記事へのリンクありがとうございます。



羽生くんが此処まで壊れたのは(私は堕ちた、というより破壊されたと思ってます)、他のすべてを失ったからですよ。すがるものが此処しかなかった、それが悪魔だった。

(somasomaさんが”藁だと思ったら碇だった”と書いてて成る程その通りだと思いました)

じゃなきゃ一気に堕ちたりしないから安心して下さい~。



私も最初観たとき「なんでここまで?」と思ったんだけど、もっと前のことをつらつら思い出してたらこういう風に思えてきたのでした。

そんな記事ですっきりしてもらえたならよかったです!

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