あひるはぐわぐわひよこはピヨ!

コントラクトブリッジのことや轟鬼くんと川口真五さんのこと、子供のことなど徒然なるままぐわぐわと書きます。

偽りの花園・第10話

2006-04-14 18:49:08 | 偽りの花園
さようなら剛さん。
「僕達はもう死ぬんだから」
そう言ったとき既に貴方は此岸の人ではなくなってしまっていたのかもしれません。
生気のない、うつろな目をして、ただ美琶子の悪魔の囁きだけを聞く魂の抜け殻になってしまったのでしょう。
唯一自分を愛してくれた祖父すらこの世の人ではなくなり、和解したと思った父からは勘当を言い渡され、遂には愛した美禰子にも裏切りを知られてしまった貴方を此岸に繋ぐものはもう何一つなくなってしまったのですから。
そう。
美禰子に見つかってしまったときですら、少し驚いてはいたものの何の取り繕いもなく、ただ無表情に美禰子を見送るだけだった貴方は、既にもう美琶子によって緩慢に殺され始めていたのでしょう。
だから前回のような苦悩をする必要すらなかったのでしょう。
祖父の死は、此岸との最後の糸を切る儀式に見えました。
美禰子との結婚すらも祖父に見せたいという意味が大きかったのだから、祖父なしではその色を失ってしまったことでしょう。

それゆえ、結婚式までの2日間美禰子に会いに行くこともなく、出来ることはただ美琶子との愛欲に溺れることだけだったのでしょう。
この世で貴方に残されたものはそれだけだから。そこにしかもう拠り所はないから。

もう既に、美禰子との結婚を夢見た、幸せを信じて疑わなかった青年は消えてなくなってしまっていたのでしょう。
ここにあるのは、すべてを失ったと思わされ、悪魔の誘惑に身を投じた挙句崩壊してしまったただの肉の骸。
美琶子の手の内でただ弄ばれるままごとの人形。

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と、えらく感傷的な文を書いてみました。

そう思わせるに充分なほど、今日の羽生くんの「既に此処には心がないような」うつろな様子は心に残りました。
凄かった。
哀しくて胸に穴が空いた様な気持ちが残りました。

思えば、第9回で庭で吐いた後、「美禰子さん・・・すまない・・・」と言って頭を抱え込んだ、あの鬼気迫る苦悶の表情と言葉こそ、今生に残した最後のまっとうな想いだったのかもしれません。もう消えゆく前の断末魔の叫びの如き姿。
あれも凄まじいものがありました。一緒に狂気に堕ちそうなほど。

川口さんお疲れ様です。
とってもとっても・・・良い演技をされていたと思います。
こんな言葉しか浮かばないけれど、あの幸せそうだった様子と、昨日のあの苦悩の様子と、今日のこのうつろな虚無感漂う様子とを演じ切っていたと、それをしっかり感じさせて頂けてうれしかった、と言いたいです。

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本当は美禰子のことも書きたいけれど、これで一旦切ります。
また落ち着いたら書こうと思います。

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