面白い本と出会った。
パームを創り出したジェフ・ホーキンスの著書。
彼の社会に対する貢献については誰しも異論のないところだ。
ハンドヘルドという分野を開発し、初めてビジネスとして成功したハードを世に送り出したという点である。
アップル社ののニュートンが受け入れられずに終わったのと対照的である。
その後のソフト制作者をないがしろにした開発方針変更や、工業規格の規則を無視したなりふり構わないビジネス展開など、最近は批判されることも多い。
そのため尊敬する起業家として名前を挙げられることは少ない。
因みに、彼は 私が10年以上住んでいた街、ハンチントン出身だ。
そんな彼が、一番興味を持っているのが「知性とは何か」という問題だ。
脳がどのように機能するかと密接な関わりがある。
それに対する彼の考え方が述べられているのがこの本である。
AI(人工知能)に対して彼は敵愾心むき出しである。
彼は神経回路構築の方に興味を持っており、AIには目もくれていない。
にもかかわらず、アメリカ政府の資金的支援がAIに偏っているからである。
コンピューターが会話するとか、何かを認識して反応するとかというのは知性ではないと彼は言い切る。
彼の意見は、「知性とは経験に基づいて未来を予測する能力だ」に集約される。
大脳皮質がどう機能するとかおまけの話もあるが、結局、彼の究極課題は将来を予想するネットワークが構築できるかどうかにつきる。
人は脳を使ってそれを成し遂げている。
だから、脳の機能を徹底的に研究する必要があるというのだ。
一読の価値がある。
早速数冊購入して、科学に興味を持っている人に読んでみたらと勧めてみた。