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Black Swan

2011-01-11 15:15:32 | レビュー
ナタリー・ポートマン主演の「 Black Swan 」は未だに日本公開が決まってないと聞く。
もったいない話だ。



今年のゴールデングローブ賞の最優秀映画にノミネートされているだけでなく、主演・助演・監督賞もノミネートされている。
予算的にはインセプションと比較にならないが、ベストフィルムはこの2作の一騎打ちだと予想する。

アカデミー賞候補はまだ発表されていないが(1月25日)、ナタリー・ポートマンが主演女優賞の候補に上るのは間違いないし、オスカー受賞の最有力候補だと思う。
作品賞もインセプションとこの映画が本命対抗だろう。
そのくらいすばらしい作品だ。

まずナタリー・ポートマンは純情無垢でバレエ一筋の少女ニーナを見事に演じている。
とても可憐で、今にも崩れてしまいそうなはかなさを痛いほどに感じる。

彼女はこの役のために10kgほど体重を落としたという。
元々、細身の女優が体重をこれだけ落とすなんて並大抵の努力では達成できないだろう。
この役にかける女優魂を見た。

ニーナは母親も獲れなかった「白鳥の湖」の主役を手にする。
白鳥の女王(白鳥/黒鳥)を踊るために純な少女からしたたかな女へ、そして堕天使へと変身するそぶりを見せるニーナ。
妖しい目の輝きが一瞬横切り、少しずつ変化していく内面を鬼気迫る演技で具現化していく。
この体当たりの役作りにはただ見とれるばかりだだ。

アロノフスキー監督の才能には脱帽だ。
チャイコフスキーの美しい音楽に乗せて、ニーナの変身を凄味のある映像にまとめていく。
シュールな編集や緊張感を高める手法などは特筆で、ナタリー・ポートマンの魅力を最大限に引き出している。

****** spoiler ******

物語は、母娘2代のバレリーナ(エリカ&ニーナ・セイヤース)を中心に進んでいく。
母親のエリカは28歳の時にニーナを生む決心をして引退した経歴を持つ。
よく言えば献身的な母親、逆にいうと過保護である。
バレエ一色の環境でかごの中の鳥として育ったニーナは純粋で毒がない。

今シーズン限りで引退するかつてのプリマドンナ、ベス(ウィノナ・ライダー)と入れ替わるように、新スターとして紹介されるニーナ。
彼女のプリマドンナとしてのデビュー作は「白鳥の湖」(ニュープロダクション)だ。
汚れを知らないニーナは白鳥を見事にこなす。
常に完璧でありたいと願うニーナは猛練習をこなし、テクニックも申し分ない。
ところが妖しげな魅力で男を虜にする黒鳥を踊るには上品すぎる。
演出家(音楽監督)はニーナにもっと羽目を外せ、男を誘惑しろと迫る。

ある意味でロールモデルとなるリリーを知り、少しずつ変化していくニーナ。
彼女の内面の変化がこの映画の本質だ。
妄想と幻想が混ざって、まじめなニーナの精神状態が極限に達する。

舞台の幕が上がりニーナの出番が来る。
未だに変身を続ける彼女。
最終幕で自ら命を絶つ白鳥(悲劇版)。
そして、ニーナが呟く、「完璧だった」

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必見の名作

★★★★★


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