裏甘×辛 ドラマ、映画の感想

最近は映画の感想が多いです。
あとYouTubeの宣伝とか。

バットマンビギンズ

2005-07-02 04:35:21 | つぶやき
「人は中身じゃない、行動だ」

アメリカンコミックが誇る稀代のダークヒーロー。
「バットマン」
たとえ観たことがない人でも名前を知らぬ人は少ないだろう。
シリーズ第5作 「バットマン ビギンズ」
第1作へ続く「バットマン」誕生秘話だ。
コミック的な要素を一切廃除した、よりリアルなバットマン。
アメコミ嫌いな人にも楽しんでもらえる作品に仕上がっている。

監督は「メメント」のクリストファー・ノーラン。
今回も幻想的でありながらリアルな絵作りが光る。
ブルース・ウェイン役のクリスチャン・ベールは過去最高にカッコいい!!
正直、今まではマイケル・キートンの暗さが1番好きだったのに…「リベリオン」で気に入っていただけに今回もやられたーって感じ。
「スターウォーズエピソード1」のリーアム・ニーソンの静かなる悪役ぶりもリアルでよい。
アメコミに有りがちな「怪人」ではないのだ。どちらかというと「テロリスト」か。
彼は「剣」の師匠という役が多いですね…個人的には「ラブアクチュアリー」の彼が1番すきなのですが。
モーガン・フリーマンの脇役ぶりには相変わらず舌を巻く(出るだけで作品に厚みが増す)が、何よりも悪役やらしたらピカイチのゲイリー・オールドマンのある意味怪演ぶりが素晴らしい。あれがゲイリーだと気がつかない人もいるんじゃないかと疑うくらい。
渡辺謙は騒がれたわりに出番も少なく作品の重要性にも欠ける。さすがにこれだけのメンツが揃うとまだまだか…



(注 ここから軽くネタバレあり)



幼い頃に両親を目の前で殺された過去を持つ「ブルース・ウェイン」
復習のために「犯罪者」に身をやつし、投獄されていたところを「ダガード」に助けられる。
彼は「ラーズ・アル・グール」という影の軍団(忍者)率いる男の下でウェインの修行を行う。
正義のための全ての破壊。それが影の軍団の目的だと知ったウェインは屋敷に火を放ちラーズを倒す。
瀕死のダガードを助けたブルースは、一人ゴッサムに戻る。
ウェイン社へ戻ったブルースは、兵器開発を行う「ルシウス・フォックス」に出会う。
そこで強化スーツや数々の特殊兵器を手に入れ、己の恐怖の象徴「コウモリ」をモチーフに「バットマン」というダークヒーローを誕生させる。自分の大切な人に危害が及ばぬように…

バットマンが元々他のヒーローものと一線をかすのは「普通の人間」だという点。
あくまでも「超人」ではない。(ふざけたくらいの金持ちではあるが)
これの対極にあるのが「スーパーマン」(彼については新作が出たときに考察しよう)
陰と陽のような2大ヒーローが長く支持されているのは、この「他のヒーローとは違う設定」にあるだろう。
普通の人間であるがゆえに「仮面」を被るバットマン。
元々超人(っていうか宇宙人)であるがゆえに普通に暮らすことが難しいスーパーマン。(クラークケントが仮の姿!)
ここに「ドラマ」が生まれる。ヒーローであるが故の人生観、ヒーローでい続けるための理由がある。
ヒーローであることの「喜び」など微塵もないのだ。ほとんど「苦悩」でしかない。

バットマンビギンズは、ヒーローの永遠に続く苦悩を見事に見せてくれた。
幼馴染のレイチェルの言葉が辛く胸に突き刺さる。同時に、彼がバットマンを続ける理由も生まれる。

「人間は確かに中身じゃなく行動。でも、私の知ってる中身はもうここにはいない。きっとゴッサムシティーに平和が訪れるまで…」

偏見に囚われず、とにかく観て貰いたい作品です。