国土交通省は、シートベルトを締めずに車が走ると警告ランプが点灯する装置「シートベルトリマインダー」を、乗用車の全席を対象に装備するよう義務化することを決めた。ベルト着用率が低い後部座席での事故被害を軽減する狙い。2020年9月以降の新型車を対象に、道路運送車両法に基づくルールを6月にも改正する。

 シートベルトの着用は08年から、前部だけでなく、後部でも義務づけられている。だが、ベルトを締めずに走行すると警告灯が点灯し、警告音が鳴る装置が義務づけられているのは、現在運転席についてだけだ。自主的に助手席についても装備しているメーカーも多いが、後部座席はほぼ対象になっていない。

 日本自動車連盟(JAF)などの調査(16年10月、約30万台対象)では、一般道での後部座席の着用率はわずか36・0%。運転席の98・5%、助手席の94・9%に比べ大幅に低い。

 後部座席でベルトを締めず、死亡に至る事故が目立っている。警察庁のデータによると、15年に後部座席に乗って死亡した全152人のうち、7割の105人がベルト未着用だった。後部座席から車外に投げ出された死者35人でみると、9割超の32人がベルト未着用者だ。

 ログイン前の続き国交省担当者は「シートベルトは単純で優れた安全装置。自動ブレーキなど最新の装置を備えていても、ベルトをしていなければ本末転倒。今回の義務化で、死亡事故をさらに減らしたい」と話す。

 昨年11月、自動車の安全技術を検討する国連の作業部会で、全席に警告装置を備えることが、日本の提案により国際的な安全基準として採択されていた。装置の規制がなかったトラックとバスについても、20年9月以降の新型車から、運転席と助手席での装置導入が義務化される。