ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ロンリー・ハート(トッド・ロビンソン監督)

2008-08-20 | Weblog
キャスト:ジョン・トラボルタ,ジェームズ・ガンドルフィーニ,ジャレッド・レト,サルマ・ハエック,スコット・カーン,ローラ・ダーン,マイクス・ガストン,アリス・クーリッジ

評価:☆☆☆

コメント:ここのところジョン・トラボルタの「はまり役」映画が少ないなあと思っていた最中に見たジョン・トラボルタの実在した刑事の役。しかも妻の自殺に傷ついて,3年間ずっと窓際族のようにやる気を失っていたところに,とある自殺事件に犯罪の匂いを感じて急にやる気を出すという展開。被害者と殺人者,そして刑事役と三面から実際の事件と取り扱う。映画監督のトッド・ロビンソンは,この映画に出てくるバスター・ロビンソンの孫。祖父が担当した事件をその孫が映画化するという展開だ。そして「ゲット・ショーティ」での共演はもちろんのこと,ジェームズ・ガンドルフィーニの父親が経営する店によく入り浸っていたというジョン・トラボルタがタッグを組んで捜査にあたる。「演技が脚本を超える」という表現をトッド・ロビンソン監督はしているが,この二人の息の合った様子は,確かに台詞のかけあいのレベルを遥かに超えている。60年前にタイムスリップしたかのような決め細やかな衣装や舞台装置などの時代考証も丁寧だ。

  実在の事件であり,しかもその残虐性からすでに映画化もされている事件だが,手元にある「世界残酷物語 下巻」(コリン・ウィルソン著 青土社)にもこの二人は登場する。コリン・ウィルソンは女性の支配力を高位・中位・低位に分類し,「高位」の数は比較的少ないとしている。また有名なマズローの理論を犯罪者にもあてはめようとしたコリン・ウィルソンは,支配力の高い人間と中位の人間の異様な組み合わせこそが暴力の「引き金」をひくとして,この映画のもととなる1947年のレイモンド・フェルナンデス(レイ)とマーサ・ベックの組み合わせを分析する。サルマ・ハエック演じるマーサは実際には体重90kgで三重顎だったというが,このマーサとレイがかなり相性が良かったのが「犯罪の引き金」。「女性をだまして捨てるだけではなく,殺したらどうか」と提案したのはマーサ。映画ではその全体像までは描かれていないが,実際には少なくとも20人を殺害し,「最後の犯罪の場所」はミシガン州グランド・ラピッズで,被害者はデルフィン・ダウリングと2歳の娘レイネル。「マーサがそそのかさなければ,フェルナンデスは人殺しまではしなかっただろう」とコリン・ウィルソンは分析している。映画の中では「カモにするはずが逆に捕まった」という台詞にその様子が現れている。映画なのでどうしてもエンターテイメントに走らざるを得ない部分もあるが,コリン・ウィルソンの「支配力」という観点でみるとまた違った印象をこの映画から受けるかもしれない。

 「その板子一枚下には,死の慈悲なき深淵が渦巻いている」(コリン・ウィルソン) 


 ストーリー:1951年シンシン刑務所で,今まさにレイとマーサの二人が死刑にされようとしている。落ち着かない様子でロビンソン刑事は執行の時を待つ…。レイはもともと単純な結婚詐欺師。ラテン系美男子の甘いマスクと鬘による頭髪の偽装で,「愛の交差点」(キューピッド・クロスロード)という新聞の記事をもとにして,夫が戦死した女性など「寂しい女性」(ロンリー・ハート)を狙った結婚詐欺を繰り返していた。だがしかし,ある日,元看護婦のマーサと出会ったときから,結婚詐欺から強盗殺人への道を歩み始める…。

 参考:「世界残酷物語 下巻」(コリン・ウィルソン著 青土社)      
          「犯罪コレクション 上巻」(コリン・ウィルソン著 青土社)