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『 夢売るふたり 』

2012年10月05日 | 映画感想(日本)
あんなに 予告で話の中味を出しちゃって大丈夫??
と 心配していたけれど
本編は もっとずっと深いものだった。
143分?? 長さは全く感じなかった。
いろいろと 感じることが多く
観終わった後に 他の人の感想が聞きたくなる映画であった。


「夢売る」
パッと思うと 「 夢 」 は 彼氏ができる 結婚できる 夢
と 考えられるけれど
主人公の夫婦も お互いに お互いの 「 夢 」 を 追っていたような気がする。

実は・・夫と一緒に見ていて 見づらかった映画です。
自分は 夫の 「 夢 」 に対し 「 現実 」 を引き合いにして
諦めさせた 身だったから・・


借金だらけの生活なのに
料理人の 薄っぺらいプライドだけは持っていて
” こんな目玉の魚は 調理できない ”
とか 
一所懸命に働く里子に向かって
” よく こんな店に 何も考えずに 勤められるね~ ” とか
「 男 」 は 飲まず食わずでも
自分の プライドだけは 護るのか?
体を張って 働いている里子に 感謝の念はないのか?
「 男 」 と 「 女 」 の違いを まざまざと 見せつけられた気がしました。
里子への感謝の念が
「 結婚詐欺 」(借用書がある限り 厳密には違うでしょうが) の計画に乗った
と言うことなのでしょうか??
お金が 貯まったら 貯まったで 
もはや 普通の店では 飽き足らなくなり
” 白木のカウンターで・・ 風が スーと流れて・・・・ ” と注文を出す 貫也を 観ていると
「 男 」 は どこまで行っても 「 男 」 
「 女 」 は 「 男の夢を支えること 」 が 自分の 「 夢 」 になってしまう・・
のかなぁ~ 
とも 考えてしまいました。

そう・・・
観ていて 一番思ったのは
人間の 欲望は 増大していくんだな・・ということ。
初めは 小さな店の 初期費用=開業資金( 手付け金 ) くらいしか
望んでいなかったはずなのに
うまくいくこと =ころっと 騙せたこと が 欲望に火を付けたのか
どこまでいったら やめるのだろう??
勤めていた店を変えたときに もう止めるかな?と思ったら
河岸を変えただけで
違うカモ探しの始まり・・・・・
でも たまたま 見つけたのが
重量挙げの 純真な娘
夫婦で あんなやりとりをしたのだから
もう 彼女は 騙さないだろう・・と 思っていたのに
・・・・・ 突き上がる欲望に 勝てなかったのか
或いは お金をだまし取れる 
楽しさを 断ち切ることができなかったのか????

     観ていて だんだんつらくなってきました。
     騙されていた 彼女の人生についても いろいろ思いました。
     「 普通の 」 「 女の子 」 という呪縛・・・
     自分の やりたいコトを極める・・ ということは
     幸せなことでもあり つらいことでもある。
     「 普通 」 って なんだろう??? と 考えました。


ダンナ ( 貫也 ) さんは 
( いつもいつも薄幸なイメージの ) 木村さんと その家族に出会い
「 騙す 」 ( 借用する ) 行為が イヤになっちゃったんでしょうか???
孫と おじいちゃん
ご飯を食べて 美味しい と言ってくれる 疑似家族の中に
「 しあわせ 」 を 見つけたのでしょうか????
ふらっ と 帰らなくなり
ラストへの流れ となっていくんですが・・・
この夫婦の 「 幸せ 」 って
本当は 何であるべきだったんだろう??
あるべき って言う言葉は とても不遜だけれど。

一人で切り盛りしているときに かかってきた電話に出た里子は
ダンナの両親を気遣う 普通の いい奥さん だった。
監督が あえてこのシーンを挿入したことに
この映画を 考えるキーポイントが あるような気がしました。


で ラストです。
ダンナ は 刑務所の中で 「 食を作る 」 仕事をしている。
里子は 体を張って お金を稼いでいる。
そして
空には かもめ・・・・・
ラストは 観客に 「 考えなさい 」 と 言ってるんでしょうね。

   とても 力のある作品で 私は 結構 好きでした。



  2012.09.20 「夢売るふたり」 TOHOシネマズ名古屋ベイシティにて鑑賞  ★★★★












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