わたしは、人間の姿のまま元の暮らしに戻った。
大学に入って、5年目。
後1年半で卒業する見込みである。
あの日の出来事は、もう忘れることにした。
しかし、目を閉じると子どものような寝顔を思い出す。
わたしは、すべて忘れるために少しの時間も惜しんで勉強をした。
普通の大学生のように、お洒落で人気の自家製のパスタのお店にいても
注文したメニューが来るまで、本に目を通し内容を理解し
頭のなかにインプットていたのだった。
人気のパスタのお店は、わたしの1週間に1度の贅沢なひとときだった。
どこからどう見ても目立たない普通の大学生だ。
今日も、ドリンクバーの野菜ジュースをうっかりこぼしてしまった…