また、会いに行くよ…
思い出した…
いつも側にいた…
晴れた日も
雨の日も
雪の日も
噴水の隣で見守ってくれていた…
だけど、
空は飛べなかった…
屋上からの景色を見ることもなかった…
誰もいなくなった夜空の下で何を思っていたのだろう…
そう考えると、わたしの胸は熱くなった…
百年以上この場所で子どもたちを見守り続けている…
わたしが最初に入ったのはここだった。
出会った少年は確かにこの中に存在していたのだ。
風が吹いた…
少年の笑顔が見えた…
「時間が来た。」
とわたしに告げた。
少年は大きく深呼吸し、少し頷いて手を広げた…
すると、細い少年の体は、むくむくと大きくなり始める。
腕も足も胸もたくましく力強い形に変わっていった…
わたしは、言葉を失ってただただ見上げた。
太陽の光を浴び全身がキラキラと輝いている。
たくましくずっしりとしていて神々しささえ感じてしまった。
「夢が叶ったよ、ありがとう…」
そう最後に言うと、少年はあるものに姿を変えてしまった…
階段を降りた…
踊り場でみんなで話した。掃除もした。
すれ違うときドキドキした。それだけで一日幸せだった。
そんなことを思い出しながら一段一段降りる。
一階の職員室を横目に見て、そこへは行かずにまっすぐ靴箱へ行く。
「今日の帰り何して遊ぶ?」なんて言いながら
放課後もいつも運動場で遊んでいた…
広い広い運動場も大好きだった…
いっぱいいっぱい遊んだっけ…
少年は運動場の片隅にある噴水にちょこんと座った。
わたしも、その隣りに座った。
すると少年は、わたしの顔を覗きこんで優しく笑った…
「懐かしいね」
そういうと、何か決心したように立ち上がり二三歩歩いたかと思うと
わたしの目の前に立ちはだかった。