宝物。

ひとり言など

横顔…

2014-05-11 05:19:01 | ボッタルガ

「あの、すいません…」

と遠慮がちな声が後ろから聞こえた。

「ドリンクバーの野菜ジュースを床にこぼしてしまいました…」

と女性は言った。

わたしは、「分かりました、拭いておきますね。」と答えた。

たったそれだけの出来事だった…

だけど、その時どこか見覚えのある人だと少し気になった。

それから、1週間に一回のペースで来てくれるようになった。

どうやら、気に入ってくれたようだ。

 

来るたびに、わたしは頭のなかがモヤモヤした。

あの見覚えのある人は誰だろう…

一度気になるとそれが解決しないと気がすまない性格なので

女性の動きを時々目で追ってしまっていた。

 

そして次第にわたしは、勝手にその人の、人となりを想像していた。

黒髪ショートで薄化粧である。

爪も短く切って、ラフな格好でいつも来ている。

本と筆記用具をかばんに入れているようで、メニューが来るまで

何やら勉強している。

そして、年齢はわたしと同じくらい。どこかの大学生だろう…

伏せたまつ毛が魅力的な女性だった。