『借りぐらしのアリエッティ』とケルト文化
スタジオジブリの『借りぐらしのアリエッティ』。
この映画の原作はメアリー・ノートンの小説『床下の小人たち』(岩波少年文庫)で、
イギリスに伝わる小人伝説をもとに作られた作品だ。
イギリス 、小人伝説とくればケルト神話。森の民ケルト人は自然のあらゆる場所に神を見て、
その神を巨人や人魚、火の精や水の精など、妖精たちに託して神話として伝承した。
そのテーマは『風の谷のナウシカ』や『となりのトトロ』『平成狸合戦ぽんぽこ』『もののけ姫』
『千と千尋の神隠し』などにも共通するものだろう。
ケルト人はローマ帝国やゲルマン民族によって辺境へ辺境へと追いやられたが、ヨーロッパ各地に
その末裔が住んでおり、遺跡や文化が残されている。ケルト人の故郷とも言えるのがイギリス と
アイルランドを中心とする島々で、特にアイルランドはいまでも国民の多くがケルト系だ。
もちろん小人 伝説も残されており、人間と小人が地上と地下を分け合ったという
小人レプラホーンの神話は、アリエッティの物語を彷彿させる。
というわけで、3つめのオススメルートはアリエッティのルーツを訪ねるケルト世界遺産旅。
訪ねる世界遺産はイギリスの「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」、
アイルランドの「ボイン渓谷の遺跡群」、フランスの「モンサンミシェル」。いずれもケルト以前の遺跡だが、
ケルトの人々はそれぞれの世界遺産に神を見ていたという。その心を感じよう。
まずはイギリスのストーンヘンジ。紀元前3000~前1500年ほどまで1,500年にもわたって
聖地として崇められていた場所に立つ環状列石で、目的も謎なら、最大50tもの巨石を運んだ方法も謎。
悪魔が造ったとか、神と交流する場所だったとか、様々な伝説が伝えられており、ケルト人たちはここで
儀式を行っていたとも言われる。
続いてアイルランドに渡り、「ボイン渓谷の遺跡群」のニューグレンジを訪れよう。
ニューグレンジは紀元前3000年前後に造られたと見られる謎の墳墓。
ケルト人はこの地に妖精が住んでいると考えて、聖地として敬った。アイルランドには
「スケリッグ・マイケル」という世界遺産もあるが、こちらも聖地と言われた場所。
ふたつの世界遺産はパワースポットとしても知られている。
最後にドーヴァー海峡を渡って「モンサンミシェル」を訪れよう。
ブリテン島を追われたケルト人の一部は、フランスのノルマンディーやブルターニュ地方に移住した。
そのためこの地にはケルトの文化が残されており、モンサンミシェルの歴史もケルト人が島を
聖地として祀ったことからはじまった。
『借りぐらしのアリエッティ』の主題歌を歌うセシル・コルベルもブルターニュの出身で、
ケルト音楽を伝える歌手なのだ。(wikipediaより引用)