先ほど、今年最後の食事をみんなでしました。
お風呂にも入ったし、後はのんびりと新年を
迎えたいと思います。
午年さようなら。
ありがとう。
よいお年をお迎えください。
先ほど、今年最後の食事をみんなでしました。
お風呂にも入ったし、後はのんびりと新年を
迎えたいと思います。
午年さようなら。
ありがとう。
よいお年をお迎えください。
奥に入っていくにつれ、澄んだ空気に包まれ
気持ちが良かった。
乗り物はガタガタと揺れ、そのたびに肩が触れ合った。
木々は紅や朱色、黄色に染まり幾重にも重なり合っている。
その山の谷間を清らかな川がくねりながら流れているのを
二人で見た。
穏やかに、時にしぶきをあげ激しく落ち姿を変えている。
そんな景色を堪能し、ようやく辿り着いた。
湯に浸かり浴衣に着替えた。
湯宿の窓から、さっき通ってきた山々を眺める。
体の芯まで温まる、いい湯だった。
ふと、もうすぐ湯から上がり、座るであろう座布団に目をやる。
わたしは、二人分ゆっくりとお茶を注ぎ
その一つを座布団の横に置いた…
弟の寝息がスースー聞こえる。
わたしは、布団からそっと出て
土間に降り、木の戸を静かに開けた。
真夜中だが昼間のようにすべてが見渡せた。
空を見上げると、柔らかな白い雲の割れ目から
キラキラと輝く満月が見えた。
高鳴る気持ちをどうすることも出来ず
早足でわたしは磯に向かった。
波は穏やかで、かすかに風が吹いていた。
船のそばで身を小さくして待っていると
足音が聞こえてきた。
着物の裾から、白い足がチラリと見え隠れし
こちらに近づいてくる。
わたしは立ち上がり、少し高揚したあの人の
柔らかな手を取り、船に乗り込んだ。
急に視界が広がった…
強い風が吹いていて、
磯の香りがした…
短い髪の毛は立ちあがり、足が震えた。
わたしは、母の手をギュッと握りその風景の中に身を投じた。
ザワザワと押し寄せては胸に飛び込んでくる。
大きくうねり、リズムを刻み
白い泡となって消えていく…
恐れと不安と安心と
奮い立つような感情が複雑に絡み合いながら
体中の細胞が何かを感じていた。